3月28日よりロートショー
ライター:能登春子
本作はイギリス出身の世界的ポップスター、ロビー・
ウィリアムスの半生を映画化したものだが、主人公の
ロビーを演じるのはなんと動物の“サル”!
ド派手なステージで観客を熱狂の渦に巻き込むロビー
らしいとも思えるユーモラスで斬新な試みは、好き嫌い
が分かれるかもしれない。
しかし、自信満々なパフォーマンスの陰で常にロビーの
心の中にあったのは、「自分は何者でもない」という
劣等感だったという。
スターの名声と引き換えに劣等感にさいなまれたロビーの半生を描くにあたり、ロビーを “サル”
に見立てたのはグレイシー監督のアイデア。
ロビーがステージ上の自身を「サルのようだった」と語ったことに基づいているので、きちんとした
意味のある挑戦だ。
“サル”のロビーを説得力あるものにするために、ロビーの胸の内に迫った繊細なストーリーと圧倒的
にカッコいいミュージカルシーンが用意された。
製作総指揮に名を連ねたロビー・ウィリアムスは自身の声を演じ、
モーションキャプチャースーツを使った動きの撮影にも協力、
映画のシーンに合わせて楽曲を歌い直すなど前代未聞の映画
プロジェクトに尽力した。
ロビー役は俳優のジョノ・ディヴィスが演じ、『ロード・オブ・
ザ・リング』シリーズのWētā社が視覚効果を施し、リアルな
サルのパフォーマンスを実現した。
CINEMAライター 能登春子/木香圭介/宮島一美/石倉ことこ
シネマプレイスがお届けするおすすめ映画レビューは独自の視点で新作映画をご紹介しています
見世物小屋で虐げられていた者たちの魂の叫びを
謳った迫力あふれるパフォーマンスが感動を呼んだ
ミュージカル映画。
『グレイテスト・ショーマン』(’17年)で長編映画監督
デビューを飾ったマイケル・グレイシー監督が、再び
オリジナリティあふれるミュージカル映画を作り上げた。
悩めるポップスターを“サル”が演じる
共感と感動を呼ぶ挑戦的なミュージカル映画
そんなコンプレックスを抱えて生きるロビーの心を具現化したのがサルの姿だとすれば、自分を
自虐的に見つめながらも“Better Man(より良い人間)”になることを目指す“サル”に共感
せざるを得ない。
(C)2024 PARAMOUNT PICTURES. All rights reserved.
シネマプレイスはあんか通販とともに、楽しい情報をお届けいたします。
物語はロビーが12歳の頃から始まる。
ロビーは大好きな父ピーター(スティーブ・ペンバートン)の影響でフランク・シナトラの歌番組を
夢中になって観ていた。
しかし「サッカーの決勝を観に行く」と言い残した父はそのまま家に戻らず、数年後、スタンダップ
コメディアンになっていたことが判明する。
父と再会したロビーは父の下で働こうと考えたが、ボーイズバンドのオーディションに合格し
アイドルポップグループ「テイク・ザット」のメンバーとしてデビューすることになる。
テイク・ザットでは才能あるメンバーとの比較に苦しみ、ソロ転向後は人気アーティストとしての重圧
に押しつぶされるロビー。
常について来る劣等感を消し去るために虚勢を張り、ドラッグやアルコールに溺れ、彼を心配する
恋人や家族、仕事仲間が離れていく。
孤独になったロビーの前に現れたのは父の幻影。
父に認めてもらえない悲しみが劣等感の源だったロビーは父との複雑な関係を乗り越えようとする。
オフィシャルサイト
クライマックスシーンの舞台に選ばれたのは、2001年に行われたロイヤル・アルバート・ホールでの
スウィング・コンサート。
父との思い出であり、自身の原点でもある『マイ・ウェイ』を歌う“サル”の姿に胸を打たれるのは
ロビーの辛い歴史をしっかり描いてきたからだろう。
ロビー・ウィリアムスを知らなくても、彼の魅力がしっかり伝わる爽快なエンターテイメント作品に
仕上がっている。
テイク・ザット時代を含めたロビーの楽曲が次々に飛び出すミュージカルシーンが見ごたえ満点だ。
ロンドンのリージェント・ストーリートを封鎖したダイナミックな楽曲『Rock DJ』、2003年に開催
されたネブワース・コンサートを再現したエキサイティングな楽曲『Let Me Entertain You』、
ほかにも『Angles』や『She's The One』など、ロビーの名曲たちに込められた深い意味を
多彩な映像で伝えるグレイシー監督の演出手腕が光る。
ローマ教皇が心臓発作で急逝した。
イギリス人の主席枢機卿トマス・ローレンス(レイフ・
ファインズ)は悲しみに暮れる間もなく、新たな教皇を
決定するためのコンクラーベを執り行う重大な責務を
負う。
(C)2025「35年目のラブレター」製作委員会
本作は、西畑夫妻の愛と涙の結婚生活を描いた心温まる
ラブストーリー。
すると、その場にいたガスリーの親友で人気シンガーのピート・シーガー(エドワード・ノートン)が
青年の類い稀なる才能を見抜く。
そして、その青年はボブ・ディランと名乗り、プロ・ミュージシャンとしてのキャリアを始める。
しかし、後日、ラースローのハンガリーでの輝かしい業績を知ったハリソンは彼の才能を認め、
亡き母を称えるためにあらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築を依頼する。
そして、ハリソンのおかげでラースローは家族をアメリカに迎えることができ、新たな生活が始まる
第1幕では、ラースローのアメリカでの不遇な日々からハリソンとの出会いでチャンスをつかむ
までが描かれる。
(C)BMG Rights Management (UK) Ltd and
Hipgnosis Songs Fund Ltd 2022. All rights
reserved.
Exclusively licensed TAMT Co., Ltd. in Japan
本作は、レコードが今なお愛される理由の一つでもある
レコードジャケットをアートの域へ押し上げた革新的な
デザイナー・アート集団「ヒプノシス」の創作の秘密に
迫るドキュメンタリー映画。
「ヒプノシス」の制作スタッフやジャケットを依頼した
ミュージシャンらの証言、ジャケット撮影の現場など
貴重な映像で構成されている。
3月20日よりロートショー
ローマ教皇を選ぶ緊迫の3日間
閉ざされたコンクラーベの闇に迫る
この物語の主人公は奈良県に暮らす、現在89歳
になる西畑保さん。
彼は過酷な幼少時代を送り、学校へ通えなかった
ことから大人になっても読み書きができなかったと
いう。
本作は音楽の分野にとどまらず、文化や社会、そして
人々の人生にも大きな影響を与えてきたボブ・ディランの
原点に迫った伝記映画。
まだ“名もなき者”だったディランの心の成長を静かに
見つめている。
ラースローは強制的に引き離され、東ヨーロッパに足止め
された妻エルジェーベド(フェシリティ・ジョーンズ)と
姪ジョーフィア(ラフィー・キャシディ)をアメリカへ
呼ぼうとしていたが、うまくいかなかった。
裕福で著名な実業家ハリソン・ヴァン・ビューレン(ガイ・
ピアース)の屋敷の仕事をしたラースローは誤解から
ハリソンの怒りをかい、さらに、いとこの家具店を首に
なってしまう。
レコードを買う楽しみは音楽を聴くことはもちろん、
アルバムへの興味を掻き立てるジャケットにあるだろう。
かつてLPレコードが主流だったころは、“ジャケ買い”
と言われ、レコードジャケットの好みだけで買う音楽
マニアも多かった。
“生きづらい世の中”という言葉が声高に叫ばれる
現代。
おそらく多くの人が何かによって苦しめられ、心に
痛みを抱えながら生きているのだろう。
どうすれば心の痛みを癒すことができるのか?
「誰もが痛みを抱えながらも前を向いて生きている。
苦しいのは自分だけではない」と思えば、少しは
気が楽になるのだろうか。
1月31日より公開
ライター:能登春子
コロナ禍がつないだ都会と地方
笑いと涙の移住エンターテインメント
時代を超えて愛され続ける名作ラブストーリー
鮮やかな映像でよみがえる『ベルばら』の世界
楡周平の同名小説を映画化した本作は、コロナ禍
でのリモートワークが可能にした“移住”をテーマに、
自分らしい暮らし方を見つける人々を描くヒューマン・
コメディ。
脚本を手がけるのはテレビドラマ『あまちゃん』や
『不適切にもほどがある!』など、社会現象にもなる
名作コメディを生み出し続ける宮藤官九郎。
今、考えるべき社会問題を
明るいユーモアにまぶして、軽やかに提起する
巧みなストーリーテリングは本作でも健在だ。
1月10日日より公開
ライター:能登春子
日本公開にあたって銘打たれた“おもてなし”スリラー
というのはなかなかうまい。
日本ならではの“おもてなし”という柔らかな響きとは
裏腹に、異常な家族による“おもてなし”は相当に
過激だ。
『新聞記者』(’1年)、『余命10年』(’22年)など、
深いメッセージ性のある作風で高い評価を受ける
藤井道人監督が、染井為人の傑作小説を映画化。
倉本聰が長年にわたり構想し、36年ぶりに映画脚本を
手がけた本作は、アイドル歌手から実力派俳優へと
見事な成長を遂げた本木雅弘と小泉今日子が32年
ぶりに共演を果たすのも注目だ。
人間の俳優が細胞を演じるという奇想天外な試みは
無謀にも思われたが、楽しくてタメになる一級品の
エンターテイメント作品に仕上がっている。
日頃から不規則で不摂生な生活をしている配送業の
父・茂(阿部サダヲ)と2人暮らしの女子高校生・
日湖(芦田愛菜)の物語。
まじめな性格で健康的な生活習慣を送る日湖の体内
では、ちょっとドジな赤血球(永野芽郁)やクールな
白血球(佐藤健)など、さまざまな細胞たちが
いつも一生懸命働いていた。
タイトルの「正体」という言葉が重く響く、良質のクライム
サスペンスだ。
日本を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され、
死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が刑務所から脱走
する。
このニュースは大きく報道され、警察は鏑木の顔写真
入りチラシを全国に手配し、鏑木の逃げ場は無いように
思われた。
そんな中、容姿を変えた鏑木は住み込みの工事現場
作業員の仕事を見つけ、ひっそりと暮らしていた。
しかし、同僚の和也(森本慎太郎)に正体を見破られ、
すぐに姿を消す。
妻・安奈(小泉今日子)を伴い、自身の展覧会へ
向かった世界的な画家、田村修三(石坂浩二)は、
展示されていた1点の絵画を見て驚愕する。
それは自身の絵を精巧に模倣した贋作だったのだ。
田村の訴えに慌てた主催者は隠蔽を画策するが、
田村はその事実を報道陣に公表し、世間を騒がす
大事件となる。
贋作を保有していた美術館の館長・村岡(萩原聖人)は
それが贋作だとは知らず絵の美しさに惹かれて購入
していたのだが、事件を苦にして自殺してしまう。
彼女の代表作を冠した本作で描かれるのは、エイミー
の一途すぎる愛の物語。パワフルでソウルフル、
エキセントリックでセンシティブ--、自身の多様な
心に導かれるままに突き進んだエイミーの生き様が
赤裸々に描かれる。
16歳で演劇学校を退校処分になったエイミー・ワインハウス(マリサ・アベラ)は、友人の
ポップシンガー、タイラー・ジェイムスがきっかけとなり、ショー・ビジネスのキャリアをスタート
させる。
そして、2003年に出したファーストアルバム『フランク』が高い評価を受け、一躍人気歌手となる。
失恋ソングから生まれた王道ラブストーリー
癒しあふれる主演コンビが紡ぐ純愛に涙
1972~73年にかけて、少女漫画誌『週刊マーガレット』
(集英社)で連載された池田理代子原作『ベルサイユ
のばら』。
美しすぎる男装の麗人オスカル、世界中に知られる
悲劇のフランス王妃マリー・アントワネット、一途に
オスカルを思う幼なじみの平民アンドレなど、フランス
革命期の貴族社会で翻弄される若者たちの壮絶な愛と
人生―。
現実世界で「人間とロボットが共存する社会」が待ち
望まれる中、小説や映画などの空想の世界でも人間と
ロボットとの関係を描くSFストーリーが数多く作られて
きた。
しかし、本作でロボットの心を目覚めさせるのは、野生
の島の動物たち。
人間の命令を忠実に聞くことだけをプログラムされた
ロボットがどのように変わるのか。
プログラム通りにはいかない野生の島での大冒険が
幕を開ける。
〈リアル・ペイン(本当の痛み)〉と題された本作には、
過去にさまざまな苦しい経験をした人々が登場する。
彼らが対峙するのは、ホロコーストの悲劇。
他人が受けた苦しみと向き合うことを通して、自己を
内省し、自分が生きる意味を見つける人々の〈心の旅〉
を追う。
ドラマチックな史実とロマンチックなフィクションを融合
させた革新的な物語は、繊細で美しいイラストとともに
多くの女性たちを魅了した。
1974年には宝塚歌劇団が舞台化、
さらにテレビアニメや映画など、さまざまなメディアを
通して華麗に咲き続ける〈ベルばら〉の世界。
連載開始から50年以上の時を経て、完全新作のアニメ
映画が登場した。
(C)楡周平/講談社
(C)2024「サンセット・サンライズ」製作委員会
ある日、イタリアでバカンス中のベンら家族はイギリス人男性パディ(ジェームズ・マカヴォイ)
の家族と出会い、意気投合する。
自称医師のパディは豪放な性格で、彼の妻キアラは思いやりのある女性。
二人の息子アントは生まれつき口のきけない障害を抱えている。
それでも、人里離れた農場でストレスフリーの生活を送るパディ一家はベンにとって理想の家族
に見えた。
ジャンクフードに酒、タバコが大好きな茂の体内は、細胞たちにとっては“ブラック”な労働環境
となっていた。
人間の健康をおびやかす細菌やウイルスと、人間の命を守るために働く細胞との戦いを
ユーモラスにアクション仕立てで描いた原作の人気の理由は、知的好奇心を刺激するから
だろう。
出版社に勤める紗耶香(吉岡里帆)はアルバイトのライター・那須の丁寧な仕事ぶりに感心
していた。
那須がネットカフェで寝泊まりしていることを知った紗耶香は、那須を自宅に泊まらせる。
那須との共同生活は数日続き、紗耶香は那須の誠実な人柄を好ましく思っていた。
そんな時、鏑木を追う刑事・又貫(山田孝之)が紗耶香の部屋を訪れる。
那須は鏑木だったのだ。
同じ頃、北海道・小樽で全身に刺青の入った女・牡丹(清水美沙)の死体が発見される。
その艶やかで美しい刺青を入れたのは彼女の恋人で画家の津山竜次(本木雅弘)だった。
本作のテーマは、人間にとって「美」とは何か? 圧倒的な“美しさ”を持つ贋作に端を発し、
名もなき画家の津山と世界的画家の田村、そして、相反する2人の男を結ぶ安奈との因縁の
ドラマが幕を開ける。
しかし、今後の方針で父のミッチ(エディ・マーサン)やレコード会社と意見が合わず、会議を
飛び出したエイミーはパブでブレイク(ジャック・オコンネル)と出会う。
2人はすぐに熱烈な恋に落ちるがブレイクは元カノと寄りを戻してしまい、傷ついたエイミーは
酒に溺れ、問題行動を起こすようになる。
心配したマネージャーはエイミーにリハビリ施設での治療を進めるが、彼女は拒否する。
やがてブレイクとの失恋の日々を綴った『バック・トゥ・ブラック』が大ヒットする。
そんな彼女の元にブレイクが戻ってくる。
映画では、原作にはない人間の親子の生活を描くことで、人間が生きるために体内では何が
起こっているのかがよく分かる。
映画の中のような出来事が実際に自分の体の中でも起こっているのだと考えると、とても興味
深く、純粋に楽しめる。
さらに実写版の面白さは、俳優たちがどんな風に細胞を演じるかという興味が加わること。
赤毛のショートカットにデニムのショートパンツをはいた永野芽郁は初々しい赤血球を好演。
佐藤健はアクションシーンも見どころで、白塗りメイクをしていてもセクシーでカッコいい。
別人に成りすまして日本各地に潜伏する死刑囚・鏑木の逃亡劇がスリリングに描かれる。
和也や紗耶香など潜伏先で鏑木に出会った人々は彼にまったく異なる印象を持っていた。
果たして鏑木の本当の姿、「正体」とは何なのか?
絶望的な状況で逃亡を続ける鏑木と冷酷無比に鏑木を追い詰める又貫との攻防は、
横浜と山田の迫真の演技により終始緊迫感に満ち、息詰まる展開で見応えがある。
「本物だから良い」とされる世の風潮に対して、“心”の備わっていない本物でも良いと言えるの
だろうか?
愛人との別宅を持ち、安奈を裏切る田村。そんな夫とやるせない日々を送る安奈。
そんな偽りの人生を生きる2人に対し、苦難を乗り越えた末に自身の心血を注いだ絵を描き上げ
ようとする津山のエネルギッシュなこと。
“心”を備えた本物の絵が生まれるシーンの迫力ある映像に圧倒される。
結婚後、ブレイクとの喧嘩やドラッグ、アルコール依存による問題行動が多くなり、パパラッチの
恰好な餌食となった
エイミーは“お騒がせ”なイメージがあったが、すべての元凶はダメ夫・ブレイクにあったのだと
いうことがよく分かる。
しかし、どんなに裏切られてもエイミーはブレイクを愛し続け、彼女の楽曲にはブレイクとの愛を
歌ったものが多いという。
そんな無垢なエイミーの素顔にフォーカスし、愛に生きたエイミーの輝かしい姿をスクリーンに
とどめた。
東北地方・南三陸の宇田濱町役場に勤める関野百香
(井上真央)は村の空き家問題を担当することになる。
まずは自分が抱える空き家を何とかしようと空き家情報
サイトに登録したところ早速申し込みがある。
沖縄出身のバンド・HYが別れた恋人をいつまでも
思い続ける切ない気持ちを歌った失恋ソング
『366日』。
2008年の発表以来、多くの人の共感を呼び愛され
続ける名曲をモチーフにしたピュアなラブストーリー
が誕生した。
ロンドン在住のアメリカ人一家、ダルトン家はベン
(スクート・マクネイリー)とルイーズ(マッケンジー・
デイヴィス)の夫妻と思春期前の娘アグネスの3人
家族。
ベンの仕事のためにロンドンへ来たものの、ベンは
すぐに仕事を失ってしまい夫婦関係もぎくしゃくしている。
ライター:能登春子
貪欲な悪者たちを生み出した
見応えある俳優たちの力演が見どころ
ローマ教皇といえば世界中に14億人以上もいる
カトリック教徒にとっては〈神〉とも崇められる存在
だろうが、果たしてその実像は?
権力と理想、欲望と良心、さまざまな思惑が
絡み合う聖職者たちの“心理バトル”が幕を
開ける。
寿司職人となり、結婚し、2人の娘を育て上げた西畑さん
は、定年退職後の65歳から夜間中学へ通い、読み書き
を習い始める。
それは、読み書きのできない彼の「手」となり支えてくれた
最愛の妻・皎(きょう)子さんに感謝の気持ちを込めた
ラブレターを書くためだった。
(C) 2025 Searchlight Pictures.
All right reserved.
1961年、ギターを片手にした青年(ティモシー・シャラメ)がニューヨーク・マンハッタンにやってくる。
彼の目的は、敬愛するフォークシンガーのウディ・ガスリー(スクート・マクネイリー)に会うこと。
人気絶頂でありながら難病を患い、退役軍人病院に入っているガスリーの病室を訪れた青年は
ガスリーのために作ったという歌を聴かせる。
(C) DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED
2024. ALL RIGHTS RESERVED.
(C) UniversalPictures
ライター:能登春子
(C)2025 映画「悪い夏」製作委員会
デビュー作にして、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞
を受賞した染井為人原作の傑作サスペンス小説が待望
の映画化。
「生活保護ビジネス」をテーマに、貪欲で自分本位な人間
たちの悪意が充満した恐怖の世界が描かれる。
船岡市の社会福祉課でケースワーカーとして働く
佐々木守(北村匠海)は同僚の宮田優子(伊藤万理華)
から「先輩の高野(毎熊克哉)が生活保護受給者の
シングルマザー・林野愛美(河合優実)に肉体関係を
迫っている疑いがあるので、真相究明を手伝ってほしい」
と相談を受ける。
(C)2024 Conclave Distribution, LLC.
微笑ましい動機で読み書きの勉強を始める優しい保を笑福亭鶴瓶が演じ、保の挑戦をそっと見守る
穏やかな皎子を原田知世が演じている。
保が夜間中学で四苦八苦しながら勉強する現代の生活の狭間に、保と皎子の若き日が描かれる。
保は読み書きができないことを隠して結婚したこと、そんな保の秘密を知った皎子が彼を労わった
ことなど、保の悩みを共有し、寄り添いながら生きてきた夫婦の歴史が徐々に明らかになっていく。
若き日の保と皎子を演じるのは重岡大毅と上白石萌音。
重岡はやがて笑福亭鶴瓶へと繋がる、明るく人懐こい保を生き生きと演じ、演技巧者の上白石は
さすがの安定感だ。
描かれるのは、1961~1965年までの成功と苦悩に彩られたディランの青春時代の物語。
フォークソングの名曲『風に吹かれて』のイメージに囚われていたディランが、そのイメージを
見事に打ち破った重厚なロックサウンドの『ライク・ア・ローリング・ストーン』を誕生させるまでの
軌跡を、ディランを取り巻くフォーク歌手たちの関係とともに綴っていく。
第2幕では、念願の家族との生活や名家のビューレン家との関係、画期的な礼拝堂建設など、
ラースローが未知の国アメリカで直面するさまざまな問題を通し、希望の国アメリカの光と闇を
浮かび上がらせる。
両幕とも、ひとつ1つのエピソードを細かく丁寧に描いたことで長尺となったが、すべてを失った
ラースローがどのように人生を取り戻すのかを描く人間ドラマは予測不能で見応えがある。
(C)2024
DREAMWORKS ANIMATION LLC.
1960~1970年代のイギリス。
2人の若者、ストーム・トーガソンとオーブリー・“ポー”・パウエルが設立した「ヒプノシス」は
絶頂期へ向かうロックミュージックの勢いを追うように、大胆な発想のアルバムジャケットを
次々に発表し、一躍脚光を浴びる。
その中には、プログレッシブ・ロックの先駆者としても知られるピンク・フロイドの初期のアルバム
『神秘(A Saucerful of Secrets)』が含まれ、以降、「ヒプノシス」はすべてのピンクフロイトの
アルバムスリーブを手がけることになる。
人間が快適に暮らせるようにプログラムされた「最新型アシスト・ロボット」が輸送中のトラブル
により、無人島に流れ着く。
偶然にも起動ボタンを押された1体のロボット「ROZZUM(ロッザム)7134」、通称ロズ
(声・ルピタ・ニョンゴ)が目覚め、早速自分の仕事をしようとするが彼女に命令をする人間が
まったくいなかった。
ロズは鹿やビーバー、うさぎなど動物たちに仕事をもらおうとするが、動物たちはロズを怪物と
恐れて逃げだしてしまう。
(C)2024 Searchlight Pictures. All rights reserved.
ニューヨークで暮らすデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)は幼い頃とても仲が良かったものの
近年は疎遠になっていた、いとこのベンジー(キーラン・カルキン)と再会する。
アメリカ社会をまとう不穏な空気を吹き飛ばすかのように、独自のメッセージを込めた楽曲を
作り上げていくディラン。
数々の歴史的なライブパフォーマンスを再現したステージシーンが何といっても見どころだ。
なんと、ディランを演じるティモシー・シャラメが劇中の楽曲すべてを実際に現場で歌っている
という。
甘い顔立ちでアイドル的人気の高かったティモシーが、本作の力演で実力派俳優へ脱皮するか
どうかも注目される。
静かな情熱を秘めたラースローの成功を願わずにはいられないのは、陰鬱な雰囲気を漂わせた
エイドリアン・ブロディの迫真の演技に引き込まれるから。
成功者の二面性をあっと驚く形でさらしたガイ・ピアースも存在感たっぷりだ。
「ブルータリズム」と呼ばれる建築様式はコンクリートやレンガがむき出しになった外見で、
装飾よりも構造そのものを見せる手法であるという。
神秘的なイメージの『狂気(The Dark Side of The Moon』や、空飛ぶ豚が不穏な雰囲気を醸す
『アニマルズ』など、圧倒的な世界観のジャケット撮影は困難の連続だったが、執念とも言える
情熱で前代未聞の映像世界を構築していく過程はとても興味深い。
厳しい野生の島で生き抜くために、ロズは自らの学習機能を生かして動物たちの言語や行動を
学習し、動物たちとの距離を縮めていく。
そんなロズに初めての“任務”が与えられる。それは、親を亡くした雁のひなを育てること。
ロズはひな鳥を“キラリ”と名付け、動物たちの知恵を借りながら、「食べる」「飛ぶ」「泳ぐ」という
渡り鳥に必要なサバイバルスキルを教えていく。
2人は亡くなった最愛の祖母を偲ぶために、彼女の故郷であるポーランド旅行を計画する。
首都ワルシャワから出発する第二次世界大戦の史跡ツアーに途中まで参加した後、
ナチス・ドイツに迫害されるまで「祖母が住んでいた家」を訪ねるのだ。
百香の物件に一目ぼれしたのは、東京の大企業に勤める34歳のサラリーマン・西尾晋作
(菅田将暉)。
家具家電完備の一軒家で家賃6万円、しかも海が近くて大好きな釣りが楽しめる。
コロナ禍でリモートワークとなった晋作は意気揚々と宇田濱町の空き家へやってくる。
ところが、未知のウイルスを警戒する土地で都会から来た晋作は危険な「よそ者」だ。
百香は晋作に2週間の自主隔離期間を設け、外出を禁止するが…。
2024年2月29日、東京。音楽会社に勤める湊(赤楚衛二)
の元を1人の少女・陽葵(稲垣来泉)が訪れる。
戸惑う湊に彼女が手渡したのは1枚のMD。
そこに入っていのは15年前に別れた恋人・美海(上白石
萌歌)からのメッセージだった。
20年前の沖縄。
湊と美海は高校の先輩と後輩として出会う。
歌を通して愛を深めた2人は高校卒業後、東京で一緒に
暮らし始める。
数週間後、ベンはパディの農場へ招待される。
ルイーズは慣れない田舎の生活に躊躇するが、就職活動がままならないベンは何かを変える
ために、この誘いに乗り家族を連れてパディの農場へ向かう。
とても医師とは思えない行動をとったり、ベジタリアンのルイーズに七面鳥を振る舞ったりと粗野な
パディに対して不安が募る。
子どもたちを家に残し夫婦だけで出かけたディナーも不穏な雰囲気に包まれており、パディ夫妻の
異様さが徐々に表れていく。
物腰柔らかなイギリス人のガイド、ジェームズ(ウィル・シャープ)が率いる、通称「痛みのツアー」
には、デヴィッドとベンジーのほかに4人が参加する。
さまざまな背景を持った彼らはホロコーストの悲劇を物語る史跡をめぐりながら交流を深めていく。
その中心になるのは、自由奔放で感情豊かなベンジー。
皮肉屋で人をいら立たせブチ切れることもあるが、彼の怒りの源には苦しむ人に寄り添おうとする
優しさがあることが分かる。
18世紀後半のフランス・ベルサイユ。
隣国オーストリアの女帝マリア・テレジアの娘マリー・アントワネット(声・平野綾)は若干14歳で
ルイ16世の妃としてフランス宮廷に迎えられる。
新しい王妃を歓迎する民衆が沿道を埋め尽くすなか、ベルサイユ宮殿へ向かうマリーはひと際、
凛とした美しさを放つ騎士オスカル・フランソワ・ジャルジェ(声・沢城みゆき)に惹かれる。
由緒ある貴族で将軍の末娘でありながら、跡取り“息子”として育てられたオスカルは、若くして
フランス近衛連隊長となり、マリーの護衛を務めることになる。
ソーシャル・ディスタンスや不慣れな社員もいるオンライン会議など、今となっては笑い話とも
言える“コロナ禍あるある”を快調に繰り出して笑わせる。さすがクドカン、つかみはOKだ!
無骨だけど情に厚い居酒屋店主・ケン(竹原ピストル)や、彼の店の常連客でけんかっ早い
タケ(三宅健)、漁師で気の良い百香の父・章男(中村雅俊)など、地方あるある的な
キャラクターたちも良い味を出している。
「愛する人との幸せな日々が365日ずっと続きますように」と願っていた2人。
しかし、湊が突然、美海に別れを告げ姿を消してしまう。美海は失恋の悲しみを抱えたまま、
沖縄に帰郷する。
3週間後、コンクラーベ前日。
世界中から高位聖職者である枢機卿たちがバチカンに集まってくる。
コンクラーベの期間中、彼らは外部からの介入や圧力を遮断するため外部と接触を禁じられた
隔離状態に置かれる。
一方、愛美は幼い娘・美空と2人暮らしだが育児放棄寸前で、高野の要求に従いながら怠惰な
日々を送っていた。
そんな愛美の事情を知った裏社会の住人・金本(窪田正孝)は、高野を脅迫しホームレスを
生活保護受給者に仕立ててその金を搾取する「生活保護ビジネス」を企てようとする。
閉ざされたシスティーナ礼拝堂で行われる選挙は全108人の枢機卿による無記名投票で、
1人が2/3以上の票を得るまで繰り返し行われる。
1日目の選挙は有力候補の4人に加え、意外なことにローレンスにも票が入り、誰も必要得票数
の72に達しなかったことから2日目の再投票へ持ち越されることになる。
現代では、ラブレターの作成に苦心する保の姿をユーモラスに描きながらも、
ついに完成した35年分の想いが詰まったラブレターの内容には涙を誘われる。
それは一途に皎子を想う保のいじらしさ、彼の幸せを心から願う皎子のけなげさ
が感じられるから。
そんな現代の保と皎子を演じた笑福亭鶴瓶と原田知世の自然体の演技が光る。
監督は『ウォーク・ザ・ライン/君に続く道』(’05年)、『LOGAN/ローガン』(’17年)
など、多彩なジャンルで才能を発揮するジェームズ・マンゴールド。
約60年も前に成し遂げたボブ・ディランの功績や、混沌とした時代に生きた人々を
支ええたフォークソングの魅力を再認識できる作品である。
映画の終盤では無駄(欲望)をそぎ落とし、シンプルな構造(生き方)を貫いた
礼拝堂を作り上げたラースローの魂のメッセージに衝撃を受けるはず。
俳優としても活躍する弱冠36歳の気鋭ブラディ・コーベットが監督・共同脚本・
製作を務めている。
長編映画監督デビュー作『シークレット・オブ・モンスター』(’15年)、2作目の
『ポップスター』(’18年)がともにヴェネチア国際映画祭で高い評価を受けている。
ほかにも、ポール・マッカートニー、レッド・ツェッペリン、10CC、ノエル・ギャラガーなど、名だたる
アーティストたちとのジャケット制作の舞台裏が当時の映像と2021年に行われたインタビューと
ともに明かされている。
そして、見どころとなるジャケット制作とともに、映画の軸になるのは「ヒプノシス」の栄光と衰退。
天才的なクリエイティブセンスを持つストームを中心とした「ヒプノシス」がアートとビジネスとの
間で葛藤し、苦しむ様子も赤裸々に綴られる。
ロボットを理解しない動物相手に何が何でも仕事をもらおうとしたり、幼いキラリに対して
スパルタ気味に指導したりと、任務に忠実すぎるロズがおかしくも健気でいじらしい。
最新型なのにレトロでちょっぴり“ポンコツ風”にも見える愛すべきロズのキャラクターデザインは
ジブリ作品のロボットたちを指針にしたという。
また、キートンやチャップリンなどの古典的なパントマイムなども参考にし、人間味あふれる
ロズを生み出した。
戦争という辛い現実を生きた先人たちを思ううちに、さまざまな感情があふれ出し、自分たちが
抱える〈本当の痛み〉に気づくデヴィッドとベンジーの姿が興味深い。
誰しも苦しい状況に見舞われることはある。
でも、誰かと苦しみを分かち合うことができれば心の痛みを癒すことにつながるのではない
だろうか。
苦難の歴史を乗り越えた人々を弔い、敬う史跡が数多く残るポーランドだからこそ、そんな優しい
メッセージがリアルに伝わってくる。
男装の麗人として生きるオスカルがさまざまな愛に悩みながらも騎士としての矜持を貫き、
より良いフランスを目指して立ち上がる姿をテンポよく描く。
王妃マリーとの許されぬ愛、スウェーデンの伯爵ハンスとの叶わぬ愛、幼なじみアンドレとの
身分違いの愛など、オスカルをめぐる恋愛模様は激しくも切ない。
百香と晋作との仲を疑うケンたちの“田舎ハラスメント”もなんのその、ポジティブで裏表のない
晋作は人と食に恵まれた地方生活を素直に楽しみ、なりゆきで自社の新規ビジネス、宇田濱町の
空き家活用プロジェクトを担当することに。
晋作率いる東京チームと百香率いる町役場チームが協力するプロジェクトは果たして成功するの
だろうか。
愛する人と別れなければならない辛さを全身で表現する上白石萌歌、愛する人を幸せにできない
切なさを静かに表現する赤楚衛二。
穏やかで柔らかな雰囲気を醸しだす2人ならではのラブストーリーは悲しくも癒しに満ちている。
友人宅での楽しい週末旅行が恐怖の体験へと変わってしまったベン一家の死闘がスリリングに
描かれる。
筋骨隆々で、ひとたび怒らせたら何を仕出かすか分からないパディ。穏やかな表情の中に狂気を
感じさせるジェームズ・マカヴォイがとにかく怖い。
監督・脚本は『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』のジェームズ・ワトキンス。
デンマークのスリラー映画『胸騒ぎ』(‘22年)をリメイクし、人間の狂気が
生み出す恐怖を描き出した。
ほかにも山本耕史、仲里依紗、染谷将太、深田恭子など、
人気俳優たちが細胞役で出演。
各細胞の特徴を生かしたメイクと衣装で細胞になりきった
俳優たちの活躍も見どころだ。
私たち人間のために、危険なウイルスなどに立ち向かう
細胞たちの健気な姿はさわやかな感動を呼ぶ。
自分の姿を変えた鏑木の逃亡劇から見えてくるのは、
他者の姿ではなく心を見ることの大切さ。
終幕で描かれる紗耶香や和也らの行動には、
観る者により賛否が分かれることだろう。
しかし、他者と関わることが不可欠な世の中で、
自分は他者とどう関わるのか改めて考えてみたくなる。
警察組織の闇を盛り込んだ社会派の側面も見せるが、
人を信じる力を与えてくれる
ヒューマニズムにあふれた作品となっている。
倉本はキャラクターの詳細なプロフィールを作り、俳優たちに
渡したという。
ストイックな役作りに定評がある本木や、女心の機微を巧みに
演じる小泉など、難しいキャラクターを丁寧に作り上げた俳優
たちの熱演が光る。
脇を固めるのは、石坂浩二、中井貴一など倉本作品常連の
ベテラン俳優たち。
監督は『ホワイトアウト』(’00年)、『Fukushima 50』(’20年)の
若松節朗が務めている。
まるで生き写しのようなエイミーを演じたのは、売り出し中のイギリス人女優
マリサ・アベラ。
激しくも繊細なエイミーを熱演するとともに、映画の歌唱もすべてマリサが
歌っているという。
原作漫画に忠実に印象的なエピソードを詰めこんだストーリーは、『ベルばら』
ダイジェスト版といった趣で、昔からのファンは懐かしさで胸がいっぱいになるだろう。
また、初めて『ベルばら』に触れる人は、魅力的なキャラクターたちが繰り広げる
波乱のドラマに引き込まれるはずだ。
アニメーション制作を担当したのは、『呪術廻戦』『進撃の巨人』のMAPPA。
最新鋭の映像技術で描かれる『ベルばら』の世界は艶やかで、ため息の出るような
美しさだ。
ファンタジックなミュージカルシーンがふんだんに盛り込まれた新生『ベルサイユのばら』。
昭和時代を代表する名作少女漫画が令和時代に鮮やかによみがえった。
空き家活用プロジェクトは都会と地方にいる人々の心の格差を浮き彫りにする。
生まれ育った故郷に留まったり、地方から都会へ出たりと観る人それぞれの状況を
照らし合わせ、身につまされる人も多いだろう。
HYが手がける主題歌『恋をして』は『366日』のアンサーソングになって
いるという。
辛い失恋もやがて人生の糧になる。たとえ結ばれなくても、
全力で人を愛することの素晴らしさがひしひしと伝わってくる。
純粋でひたむきな主人公たちの姿を見て、自分自身の恋愛を振り返って
みたくなる人も多いのではないだろうか。
危なすぎるパディのキャラクター性や、ハチャメチャにも思えるクライマックス
のアクションシーンなどB級感もチラホラ漂うが、
異常な家族の“おもてなし”の裏に隠された真相に驚かされる。
『はたらく細胞』ハロウィンパーティーにて
『正体』初日舞台挨拶
総勢7500人にのぼるエキストラを動員し、全国21都市
31ヶ所でロケーション撮影を行うなど、キャスト・スタッフ
が一丸となり、リアルな体内の創造に尽力したことが
うかがえる。
ミクロな細胞たちのダイナミックな世界をぜひ映画館の
大きなスクリーンで体感してほしい。
都会と地方のギャップを楽しく描きつつ、終盤でクドカンの視点は悲しみとの向き合い方へ
移っていく。
コロナ禍、地方の過疎化、そして東日本大震災。
人々の価値観や人生を揺さぶる出来事が続く近年の日本、困難を乗り越えても新たな困難に
見舞われる状況で、何を信じ、どうすれば前向きに生きていけるのだろうか。
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(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024 映画「はたらく細胞」製作委員会
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監督はジョン・レノンの青春時代を描いた『ノーウェアボーイ ひとりぼっちの
あいつ』(’09年)で長編監督デビューを果たしたサム・テイラー=ジョンソン。
苦悩と葛藤を抱えた人物を丁寧に描写し、好感が持てる。
しかし、偶然の繋がりから高野ではなく、真面目で気弱な佐々木が「生活保護ビジネス」の
企みに巻き込まれてしまう。
善から悪へと豹変する北村匠海や、裏社会の怖さを十二分に伝える窪田正孝、自堕落な愛美に
なりきる河合優実など、「クズとワルしか出てこない!」と評判を呼んだ原作のキャラクターたちを、
リアルによみがえらせた俳優たちの力演に圧倒される。
有力候補者の1人に前教皇の死に関連しそうな疑惑が持ち上がったことを
皮切りに、次々に聖職者たちの裏の顔が暴かれていく。
より良い新教皇を選ぶために疑惑の解明に奔走するローレンスも、実は
新教皇の座を狙っているのではないだろうか。
不穏な雰囲気をたたえたレイフ・ファインズが終始、観る者を惑わせる。
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監督を務めたのは、写真家、ミュージックビデオや長編映画の監督など、
多方面で活躍するオランダ出身のアントン・コービー監督。
アート性の高い演出はオシャレでカッコいい。
懐かしいヒット曲、驚くべきアートの世界、アーティストの素顔、ドラマチックな
人間模様など、さまざまな要素が詰め込まれている。
ロズの言動に笑ったり、キュンとしたり。
楽しく温かい物語のクライマックスは、ロボット映画ならではの壮大な
アクションシーンで締めくくられる。
ロズの忠誠心が大爆発したかのようなダイナミックで迫力満点のアクション
シーンは見応えたっぷりだ。
原作はアメリカの作家ピーター・ブラウンの児童書『野生のロボット』。
日本語吹替え版では、綾瀬はるかがロズの声を演じている。
“天然さ”を感じさせる優しく、軽やかな綾瀬はるかの声はロズにぴったりだ。
主演のジェシー・アイゼンバーグが監督・脚本・製作も務めている。
ユダヤ系アメリカ人のルーツを持つアイゼンバーグがホロコーストに迫害された自身の叔母が
住んでいたポーランドの村を訪ねたことから着想された物語であるという。
その後、アイゼンバーグは「ポーランド市民権を申請した」と報じられた。
それほど強い思い入れで作られている。
本作で第81回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞。
今年3月に発表される第97回米アカデミー賞の最有力候補としても期待されている。
さらに、竹原ピストルが悪役に挑戦。
佐々木を陥れようとする生活保護費の不正受給者・山田をひょうひょうと演じて不気味な
悪ぶりを見せる。
「愛美と美空の親子を助けたい」という佐々木の善意が悪者たちに利用され、事態は
とんでもない方向へ。
クズやアクが勢ぞろいしたクライマックスシーンでは、壮絶な修羅場が展開する。
陰謀と策略にまみれ、3日目までもつれたコンクラーベ。
疑心暗鬼の塊となった枢機卿たちはどのような新教皇を選んだか。
750年以上前から続く厳正な選挙ルールにのっとり、秘密裏に行われるコンクラーベを
重んじる保守的なカトリック教会への挑戦的なラストが圧巻だ。
今年度の米アカデミー賞では8部門にノミネート。
『裏切りのサーカス』(’11年)のピーター・ストローハンが脚本を手がけ、米アカデミー賞
脚色賞を受賞した。
エンターテイメントの枠組みの中で生活保護制度の在り方を問いかけた問題作。
どんなに悪者たちがはびこっても、「善意の力」を信じられるラストに希望を感じる。
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2月21日よりロードショー
2月28日よりロードショー
ライター:能登春子
名曲に秘められたボブ・ディランの苦悩
旬の俳優ティモシー・シャラメが魂の熱唱
激動の時代を生き抜いた建築家(ブルータリスト)
長尺な上映時間も納得の濃密な人間ドラマ
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ポーランドが誇る作曲家ショパンの調べとともに、ポーランドの忘れては
ならない歴史を辿る重厚な旅。
中でも、アウシュビッツに次ぐ規模を持つマイダネク強制収容所跡を
めぐるシーンではツアーの参加者の一人として、至るところに残る人々の
苦しみと悲しみを感じ、深く考えさせられる。
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しかし、悲しみにうちひしがれて立ち止まっていても“陽はまた昇る”。
明るい未来を信じて一歩を踏み出すことが大切なのだろう。
都会と地方をつなぐ移住生活がもたらしたのは、心地よい人とのつながり方。
働き方や生き方の多様化を促進させたポストコロナ時代にふさわしい
“新しい幸せのカタチ”に注目だ。
ライター:能登春子
バチカン市国の元首にしてカトリック教会の
最高指導者、ローマ教皇を選出する選挙
〈コンクラーベ〉の内幕をスリリングに描いた
ミステリー映画。
笑福亭鶴瓶と原田知世が夫婦役で共演
大切な人への愛にあふれた感動の実話
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ライター:能登春子
2016年、歌手として初めてノーベル文学賞を受賞した
ボブ・ディラン。
世界にあまたいる偉大な音楽家たちの中でもその存在
は別格であろう。
1962年、フォーク歌手としてデビューしたボブ・ディランは
反戦運動や公民権運動など政府への不満が高まる
アメリカで、プロテスト(反政府)ソングとも呼ばれる
『風に吹かれて』や『時代は変る』を発表し、瞬く間に
“時代の代弁者”となっていくが…。
映画の尺は200分。
往年のクラシック映画を彷彿とさせる、15分のインター
ミッション(休憩時間)をはさみ計215分(3時間35分)
という物々しいスタイルで描かれる壮大な人間ドラマは、
贅沢な映画体験を味わわせてくれる。
2月7日よりロードショー
ライター:能登春子
懐かしいヒット曲や貴重な映像で綴る
画期的なアートが生まれる過程
2月7日よりロードショー
ライター:能登春子
第二次世界大戦下のホロコーストを生き延び、アメリカ
へと渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家の苦難と葛藤に
満ちた人生の旅路が丹念に綴られる。
才能にあふれる建築家ラースロー・トート(エイドリアン・
ブロディ)は命からがらアメリカ・ペンシルバニアへたどり
着き、いとこの家具店に勤め人生の再起を図ろうとする。
1980年代以降、デジタル化の波は音楽業界にも
押し寄せ音楽メディアは劇的な変化を遂げている。
黒いドーナツ盤のレコードは軽量で音質の劣化が
少ないCDにとって代わり、2020年代の現代では
データ配信で聴くのが主流となっている。
しかし、アナログ的なレコードの人気は根強く残り、
今や中古レコードはコレクターアイテムとなり、
古き良き時代の名盤アルバムを探す音楽愛好家
たちも多い。
野生の島で見つけた心と絆の物語
愛すべきロボットキャラクターが誕生
1月31日より公開
ライター:能登春子
CGアニメ映画のパイオニアの一つ、『シュレック』の
ドリームワークス・アニメーション30周年記念作は、
ロボットの“心”の成長を描く感動的なファンタジー
アドベンチャーだ。
苦しみと癒しが交錯するポーランドへ
“本当の痛み”と向き合うロードムービー
オフィシャルサイト
11月22日よりロードショー
ライター:能登春子
“おもてなし”の裏にある恐怖の真相
実力派俳優ジェームズ・マカヴォイが怪演
想像を超えた細胞たちの活躍が楽しい
笑いと感動のエンターテインメント超大作
ライター:能登春子
11月29日よりロードショー
ライター:能登春子
11月22日よりロードショー
『ゲット・アウト』『M3GAN/ミーガン』など、数々の
大ヒットホラー映画を生み出した製作会社ブラム
ハウス・プロダクションズの最新サスペンススリラー
映画。
酸素を体内に運ぶ赤血球や体内に侵入した異物
を排除する白血球など、人間の体内にある細胞を
擬人化した人気コミックを実写で映画化。
5つの顔を持つ死刑囚が向かう先とは?
横浜流星のひたむきな演技が胸を打つ
『北の国から』(’81年~‘03年)、『やすらぎの郷』
(’17年)など、数々の名作テレビドラマを生み出した
名脚本家・倉本聰が原作・脚本を手がけた重厚な
大人のラブストーリー。
2011年、27歳の若さで急逝したイギリスの歌姫
エイミー・ワインハウス。
アルコール依存症療養施設でのリハビリを経て
発表されたセカンドアルバム『バック・トゥ・ブラック』
でグラミー賞5部門に輝き、さらなる活躍が期待
された中での衝撃的な死だった。
20歳のデビューから活動期間はわずか7年間。
その間、歌手として圧倒的な個性を放ち、多くの
若者に支持されたエイミーは1人の男性との出会い
で運命を狂わせていく。
贋作に秘められた悲しい過去と強い愛
倉本聰が集大成と位置づける渾身のドラマ
名曲に隠された苦しい愛の日々
エイミー・ワインハウスの伝記映画
copyright 2006 value-fix all rights reserved.
ライター:能登春子
オフィシャルサイト
1月17日より公開
3月7日より公開
3月20日よりロートショー
ライター:能登春子
12月13日よりロードショー
ライター:能登春子
『あゝ、荒野』(’17年)、『正欲』(’23年)の岸善幸監督がコメディ映画に初挑戦。
主演の菅田将暉とは『あゝ、荒野』以来7年ぶりの顔合わせとなる。
12月13日よりロードショー