ライター:能登春子
12月1日より全国ロードショー
写真家のヴィクター(レスリー・オドム・Jr.)は妊娠中の
妻ソリーン(トレイシー・クレイビス)をハイチ地震で
失ってしまう。
それから13年、ヴィクターは1人娘のアンジェラ
(リディア・ジュエット)を大切に育ててきた。
2人の少女を悪魔から救おうとする試みは、ヴィクターに加え、キャサリンの両親、ヴィクターの
隣人でアンジェラが入院する病院の看護師などから広がり、カトリック教会の神父やパブテスト
教会の牧師、ブードゥーのヒーリストなど、4つの異なる宗教と信仰が入り乱れ、大がかりな
ものとなる。
さらに、1973年版の『エクソシスト』で悪魔に憑りつかれた少女の母、クリス・マクニール
(エレン・バースティン)も駆け付け、恐るべき悪魔と対峙する。
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科学や文明が発達した現代において、悪魔祓いという古典的なモチーフから恐怖を
感じることは難しいのかもしれない。
そんな中、この『エクソシスト』新章は、本作を含めた全3部作になる予定といわれている。
CINEMAライター 能登春子/木香圭介/宮島一美/石倉ことこ
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悪魔祓いの恐るべき光景を、まざまざと見せつけた
オカルト・ホラー映画の金字塔『エクソシスト』。
1973年12月のアメリカ公開から50年の節目となる
タイミングで、新たな『エクソシスト』伝説が幕を
開ける。
ところが2人は行方不明になってしまう。
3日後、自宅から50キロメートルも離れた場所で見つかった2人はその間の記憶を失い、
常軌を逸した行動ばかりを取るようになる。
母への愛が原因で、悪魔に憑りつかれてしまった少女たちに対する悪魔祓いの過程が描かれる。
監督は『ハロウィン』3部作シリーズのデヴィッド・ゴードン・グリーン。製作は『ゲット・アウト』
(‘17年)、『M3GAN/ミーガン』(’23年)など、ハリウッドのホラー・映画界を牽引する
ブラムハウス。
命の選択をテーマにしたストーリーはスリリングで、特殊メイクを施した少女たちの怪演も
見事。
しかしながら、悪魔祓いの斬新なビジュアルと不気味な旋律の音楽で、観る者を恐怖の
どん底に陥れた1973年版に比べると、インパクトが弱いのは否めない。
悪魔祓いの儀式がスケールアップ
50年ぶりに蘇った『エクソシスト』新章
ある日、アンジェラは亡き母に会いたいと望み、
親友のキャサリン(オリヴィア・オニール)と共に、
ソリーンの降霊を試みるために森へ向かう。
クリスを演じたエレン・バースティンが50年ぶりに出演していることもあり、本作は1973年版の
直接の続編と位置づけて製作されている。
シネマプレイスはあんか通販とともに、楽しい情報をお届けいたします。
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大学生の神戸八重子(東野絢香)はずっと男性が苦手だった。
だが、学園祭の「ダイバーシティフェス」への出演を依頼したダンスサークルに所属する諸橋大也
(佐藤寛太)のひたむきに踊る姿から目が離せなくなる。
一方、クールにダンスの練習に励む大也は人知れぬ悩みを抱えていた。
3つの異なる環境で、“特殊”な事情を抱えた人々が“自分らしい”生き方を模索する姿が
描かれる。
但し、彼らは本当に“特殊”なのだろうか。ただ、人と違う側面があるに過ぎない。
でも、そのために人の目を恐れている。
おそらく、そのような感情を持ちながら、生き辛さを感じている人は多いのではないだろうか。
1920年代、退役軍人のアーネスト(レオナルド・ディカプリオ)が地元の有力者である叔父
ウィリアム・“キング”・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)を頼り、オクラホマ州に移り住む。
そこでは、石油発掘による鉱業権を得て裕福になったオセージ族のオイルマネーを狙い、
白人の投機家たちによる恐怖支配がおこなわれていた。
不正な後見人制度や結婚でオセージ族の財産を得ようとする白人たちがいるなか、
オセージ族の人々の不可解な死が相次いで起こる。
ライター:能登春子
10月6日より全国ロードショー
ライター:能登春子
12月1日より全国ロードショー
リドリー・スコット監督が描く
愛と戦禍に生きたナポレオン
ライター:能登春子
11月10日より全国ロードショー
名匠リドリー・スコット監督の最新作は、〈英雄〉・
ナポレオンの実像に迫る歴史スペクタクル超大作。
ゆがめられた真実を見抜けるか
若者たちが繰り広げる緻密な法廷ゲーム
『ジョーカー』(’18年)の鬼気迫る演技でオスカー
俳優となったホアキン・フェニックスがナポレオンを
演じ、『グラディエーター』(’00年)以来、23年ぶり
にリドリー・スコット監督とタッグを組む。
ミステリー界の新星として注目される作家・五十嵐律人の
本格リーガルサスペンス小説をKing&Princeの
永瀬廉主演で映画化。
若手演技派の杉咲花、歌手・俳優として多彩に活躍する
北村匠海を共演に迎え、弁護士を目指す若者たちの間で
起こった驚くべき殺人事件の謎に迫っていく。
ライター:能登春子
11月10日より全国ロードショー
生き辛い世の中に生きる人々へ
稲垣吾郎と新垣結衣が静かに問いかける
稲垣吾郎がマジョリティの代表のような“普通”の家庭の父親を淡々と演じている。
ほかの4人からはマイノリティの苦悩がひしひしと伝わってくる。
特に、特殊な性癖を持ち、鬱屈とした思いを抱える夏目を演じた新垣結衣に注目だ。
1789年フランスで、王妃マリー・アントワネットの処刑が
行われる。
この光景を群衆に混ざり見ていた、コルシカ島出身の
若き軍人・ナポレオン・ボナパルト(ホアキン・フェニックス)
は、その後、フランス革命の混乱を見せるフランスで、
目覚ましい戦術の才能を発揮していく。
名門・法都大学のロースクールでは、生徒たちの間で
“無辜(むこ)ゲーム”と呼ばれる法廷ゲームが行われて
いた。
それは、3名のプレイヤーが被害者(告訴者)・加害者・
審判者として参加し、加害者の犯した罪を被害者が
順序立てて証言した後、審判者がどちらに本当に罪が
あるのかを判断するゲーム。
被害者の証言の仕方によっては、被害者が“無辜(罪の
ない者)”に罪を着せたとして負け、加害者が無罪放免
となり、勝つことになる。
つまり真実がゆがめられてしまうのだ。
原作は『桐島、部活やめるってよ』、直木賞受賞作
『何者』の作家・朝井リョウ。 読後に“価値観を激しく
揺さぶる内容”として話題を呼び、ベストセラーを
記録した小説の映画化である。
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原作は2017年に刊行されたジャーナリスト、ディヴィッド・グランの犯罪ノンフィクション
『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』。
グランが調査した細かい事実を積み重ね、膨大な長編となった原作を丁寧に再現しようたため、
映画も長尺になったようだが、実は映画には大胆な脚色が加えられている。原作の主人公は
オセージ連続殺人の調査に乗り出すFBIの特別捜査官トム・ホワイトで、タイトルにもある通り
FBI発足時の舞台裏を主軸にしたものである。
企画当初は“ヒロイック”なFBIの刑事ドラマとして、ディカプリオがトム・ホワイトを演じる予定
だったという。
悟(二宮和也)は自身が店内デザインを手がけた喫茶店
「ぴあの」で、一人で来ていたみゆき(波瑠)とひょんな
ことから意気投合する。
そして、連絡先を交換せずに「毎週木曜日に、『ぴあの』で
会う」という約束を交わす。
ライター:能登春子
9月29日より全国ロードショー
社会の底辺に生きる、“持たざる者”が企てる
リアルでスリリングな、とても怖い犯罪劇
人にはそれぞれの異なる性質が備わっている。
けれど、それが大多数の人と同じ性質でないと
気づいたとき、人は本当の自分を隠して生きて
しまうようになる。
こうして、“生き辛い世の中”が生まれる。
10月20日より全国ロードショー
軍の総司令官となったナポレオンは2人の子どもを持つ未亡人のジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・
カービー)を深く愛するようになり、やがて2人は結婚する。
しかし、奔放なジョゼフィーヌはすぐに他の男と関係を持ち、ナポレオンを苦しめていた。
ヨーロッパ遠征で勝利を重ね、フランス帝国の皇帝にまで上り詰めたナポレオン。
しかし、ジョゼフィーヌとの生活に満たされない思いを抱えていた。
無辜ゲームの考案者で、すでに司法試験に合格した異端の天才・結城馨(北村匠海)、
友人たちから“セイギ”と呼ばれる久我清義(永瀬廉)、セイギの幼なじみの滝本美鈴
(杉咲花)はロースクールの同級生だ。
本作で描かれるのは家庭環境や性的志向、容姿など、
“自分では選べない”背景を持ち、苦悩する5人の姿。
多様性の時代とは名ばかりの同調圧力がはびこる
世の中で、“本当に人とわかり合うこと”とは、どういう
ことなのかを問いかける。
ライター:能登春子
ナポレオンの台頭から失脚までの歴史が、1人目の妻ジョゼフィーヌとの愛憎入り混じった
関係を絡めて描かれる。
ナポレオンのドラマチックな恋愛劇は斬新な解釈で、この映画のメインテーマであるが、
2人の複雑な愛の世界に入り込めない人もいるかもしれない。
数年後、弁護士になったセイギは馨から「久しぶりに無辜ゲームを開催する」という報せを受け、
会場へ向かう。
そこでセイギは血を流して息絶えた馨と、ナイフを持ち血まみれで放心する美鈴を発見する。
無罪を主張する美鈴はセイギに弁護を依頼。セイギは美鈴を救うために奔走する。
ディカプリオとデ・ニーロが恐るべき犯罪者に。
アメリカの闇に迫るスコセッシ監督の意欲作
横浜地方検察庁の検事・寺井啓喜(稲垣吾郎)は、不登校のインフルエンサーに影響された
小学生の一人息子・泰希が自分も学校に行かずに動画配信を始めたことに困惑し ていた。
そして、息子の希望を尊重した妻・由美(山田真歩)も動画配信にのめり込み、家庭は
ぎくしゃくしていた。
『カジノ』(’95)、『ディパーテッド』(’06)など、数々の
犯罪映画を手がけてきたハリウッドの巨匠マーティン・
スコセッシ監督が、本作ではアメリカの恥ずべき
血塗られた歴史をつまびらかに描き出していく。
それは、20世紀初頭、傲慢な白人たちがネイティブ・
アメリカンであるオセージ族に犯した人種差別と
極悪非道な犯罪の数々だ。
映画の序盤は実際に会って話したり、いろんなことを経験しながら距離を縮めていく2人のピュアな
日常がゆったりとしたテンポで描かれる。
2人の“アナログ”的な付き合い方はもどかしいけれど、なんだか新鮮にも映る。
特に海辺での告白は、まさかの“糸電話”! ロマンティックな海辺のシチュエーションを効果的に
使ったシーンがとてもいい。
ゲーマーからプロのカーレーサーへの挑戦
本格的なカーレースシーンが楽しめる
特殊詐欺グループの受け子のリーダーとして暗躍する
女性・ネリを主人公に、社会の最底辺へと転落した者が
たどり着く、裏社会の脅威と恐怖をまざまざと見せつける。
ライター:能登春子
やはり見応えがあるのは、エジプト遠征や皇帝ナポレオンの戴冠式、ロシア遠征、
ワーテルローの戦いなど、史実を再現したシーン。
11台のカメラを使い、8000人以上のエキストラで撮影されたという壮大なスケールの
戦闘シーンでは、リドリー節全開の生々しいアクションが展開される。
現実世界ではトップアイドルや人気俳優として輝くような活躍を見せる人が、複雑な因縁に
囚われたミステリアスな若者たちを力演。
曰くありげな無辜ゲームの不気味さも手伝い、映画は終始、陰鬱なムードが立ち込める。
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誰が悪いのか。何が正しいのか。
決して知られてはならない真実を覆い隠すように、いくつもの企みが
仕掛けられている。
幾重にも張り巡らされた伏線がつながっていくクライマックスでは、
ちょっとしたカタルシスを味わうことができる。
広島で両親とともに暮らす桐野夏月(新垣結衣)は大型ショッピングモールに勤めて いる。
あまり人付き合いがよくないのは、特殊なフェティシズムを抱えているからか。
だが、鬱々とした毎日を過ごす中、中学校の同級生・佐々木佳道(磯村勇斗)が広島へ戻って
きたことを密かに喜ぶ。
横浜で働いていた佐々木は会社の人々と馴染めず、両親が亡くなったのを機に広島へ戻って
きたのだ。
スコセッシ監督にとっては初の西部劇ともなる本作は、
主演にレオナルド・ディカプリオ、共演にはロバート・
デ・ニーロというキャストの顔ぶれにも期待が高まる
話題作である。
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楽しそうな笑顔の中にも、どこか陰を感じさせるみゆきがなぜ携帯電話を持っていないのか。
そして、なぜ悟の前から姿を消したのか。みゆきの切ない事情が終盤に明かされる。
気のいい悟を演じるのは自然な演技に定評のある二宮和也。
波瑠はどこか儚げな印象のあるみゆきにぴったりだ。
時代に流されない“アナログ”な2人の姿に好感が持てるのは、絶妙にさりげない俳優2人の
妙演の賜物だろう。
ある日、高齢者の女性の特殊詐欺に失敗した高城とネリは、大阪府警の佐竹刑事(吉原光夫)らに
追われることに。
そんなとき、ネリの血のつながらない弟・ジョー(山田涼介)がネリの前に現れる。
ネリは犯罪歴のあるジョーを使ってくれるよう高城に頼むが、手っ取り早くお金を稼ぎたいジョーは、
裏社会での黒い仕事を仲介する林田(サリngROCK)から殺しの仕事を引き受ける。
2008年、日産はリアルなドライビングテクニックが
必要な「グランツーリスモ」を巧みに操るトップゲイマー
にドライバーとしての素質を見い出し、彼らをプロの
カーレーサーとして育成するプログラム「GTアカデミー」
を開始した。
日本映画界の重鎮、山田洋次監督と
吉永小百合が贈る、癒しの人情喜劇
大泉洋が落ち着きのある演技をする一方で、木部を演じる宮藤官九郎が騒動を巻き起こす
コメディリリーフとして作品を盛り上げている。
昭夫も木部も共感必至のキャラクターとなっているのは、さまざまな人間の機微を捉えてきた
山田監督の手練れの演出によるものだろう。
監督は岸善幸、脚本は港岳彦。
『あゝ、荒野』(’17年)を手がけた気鋭コンビが放 つ問題作である。
言葉巧みなウィリアムに翻弄され、アーネストがオセージ族連続殺人に巻き込まれていく過程が
描かれる。
モリーの母や3人の姉妹たち、そしてモリーまで……。他にも、邪魔な者たちを次々に排除していく。
アーネストは実行犯ではなく、殺し屋との交渉をしているだけの“使いっぱしり”。
そんな単純で自堕落で日和見的なアーネストを、ディカプリオがいやらしさ全開で演じている。
原作は2017年に出版されたビートたけしの初の
ラブストーリー。
主人公は、手造りの模型や手描きのイラストにこだわる
デザイナー・悟と携帯電話をもたない女性・みゆき。
今の時代では、まさしく“アナログ”な2人の愛の行方が
描かれる。
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ネリを追う大金持ちの投資家・胡屋(渕上泰史)を含めて、人の痛みが
分からないサイコパスなキャラクターたちがうごめく物語は本当に怖い。
一方、日産のマーケティング担当、ダニー(オーランド・ブルーム)は「GTアカデミー」の創設に
奔走し、かつて伝説的なドライバーだったエンジニアのジャック(デヴィッド・ハーバー)を指導者
として迎える。
そんななか、アーネストはオセージ族のモリー(リリー・グラッドストーン)と恋に落ちる。
結婚の意思を固めたアーネストに対し、ウィリアムはモリー一族の財産を得るチャンスと捉え
恐ろしい計画を企てる。
穏やかな時間の中で育まれる一途な愛
二宮和也と波瑠が紡ぐピュアなラブストーリー
しかし、スコセッシ監督はこの忌まわしい歴史の闇を伝えるために、実際に逮捕された
アーネストを主人公に据え、欲にまみえた白人たちの愚行と裏切りのドラマを見事なまでに
描き出した。
ディカプリオも自らアーネストを演じることを申し出たという。
初めのうち、喫茶店でコーヒーを飲みながらとりとめのない話をしていた2人は、やがて焼き鳥屋で
お酒を飲んだり、そば屋のそば打ちイベントに参加したり、海に行ったりと楽しい時間を重ねていく。
そんな中で、清楚で穏やかなみゆきに惹かれた悟は、彼女の素性も知らぬまま彼女にプロポーズ
することを決意する。
特殊詐欺グループの内実をリアルに描いた黒川博行
原作の傑作クライムサスペンス小説『勁草』を、
『クライマーズ・ハイ』(’08年)、『燃えよ剣』(’21年)
など、骨太なドラマに定評のある名匠・原田眞人監督が
映画化。
9月16日より全国ロードショー
素朴な2人の愛を後押しする悟の友人には桐谷健太と浜野謙太、
悟の母親には高橋惠子、「ぴあの」のマスターにはリリー・フランキーなど、
味のある俳優たちが脇を固めている。
ところがジョーは仕事に失敗してしまう。
そうして無鉄砲なジョーが思いついたのは、大金を持つ高城を襲うことだった。
本作は、そんな無謀ともいえる「GTアカデミー」を経て、
現在カーレーサーとして活躍するヤン・マーデンボロー
をモデルに、ゲームの可能性を信じて夢を実現させた
男たちのドラマである。
昭和時代から日本の家族の姿を撮り続けてきた
山田洋次監督が、令和時代に贈る母と息子の物語。
東京の下町・向島を舞台に、ユーモアとペーソス
あふれる極上の人情喜劇が繰り広げられる。
今の世の中、誰もが何の因果で社会の底辺へと転落するか分からない。
社会状況や人間関係が影響し、“普通”と思われる人が犯す物騒な事件が
増えている中、あまりに生々しく気持ちの滅入る題材ではあるが、
“正しく生きること”の大切さを痛感させる。
覚悟を持って、ぜひ観てほしい作品だ。
その後、ヤンは「GTアカデミー」の地区予選大会を1位で通過し、トッププレイヤー10人が
集められた「GTアカデミー」への参加を果たす。
ある日、大学生の娘・舞(永野芽郁)を連れて出ていった妻から昭夫へ「舞が来ていないか?」
と連絡がくる。
舞の行方を捜して、母・福江(吉永小百合)が1人で暮らす向島の実家を訪れた昭夫は、そこで
舞を見つける。
「家に帰りたくない」という舞はしばらく福江の家で暮らすことになったため、昭夫も度々、
福江の元を訪れるようになる。
8月11日より全国ロードショー
トム・ホワイト(ジェシー・プレモンス)率いるFBIが捜査に乗り出した映画後半では、FBI、
アーネスト、そしてウィリアムら3つ巴のスリリングな心理戦が繰り広げられる。
そこでは、やはり不気味なウィリアムを生み出したデ・ニーロの圧倒的な存在感に
うならされる。
上映時間は3時間26分。
全編、殺戮が繰り返される激しい物語だが、徹底的に悪者を描き、悪者へ転じることへの
恐怖をまざまざと見せつけるのは、人が悪の道へそれないための戒めにもなるはずだ。
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悩める中間管理職の昭夫を中心に、決して良いことばかりではない人生をがんばって生きようと
している普通の人々の姿が温かな笑いとともに描かれる。
監督は異色のSFアクション映画『第9地区』(’09年)のニール・ブロムカンプ。
割烹着を着て、寡黙な父とともに稼業にいそしんでいた昔の母を知る昭夫にとり、福江の変化は
違和感しかない。
しかし、妻や娘、さらに昭夫を追って実家にやってきた木部などとの問題に対処する中で、昭夫は
母の存在に救われるようになる。
ジャパニーズホラーの巨匠・清水崇監督の最新作は、
人気ボーカルダンスグループ・GENERATIONSが
本人役で主演するホラー映画。
不気味な歌が吹き込まれた1本のカセットテープを
聞いたGENERATIONSのメンバーたちが恐怖の
出来事に巻き込まれてしまう。
ライター:能登春子
8月4日より全国ロードショー
アクション映画ファンには、やっぱりたまらないシリーズだ。
IMAXでの上映もあるので、異次元のロボットたちの戦いを思い切り楽しんでほしい。
〈悪魔祓い〉がヴァチカンの仕事として現代まで実際に行われていたことに驚かされるが、
本作ではカトリック教会が封印してきた秘密や、従軍経験のあるアモルト神父の過去、
さらにアモルトに協力するトーマス神父(ダニエル・ゾヴァッド)が経験した悲しい恋など、
ミステリー要素を交えて悪魔の存在にリアリティをもたらそうとしている。
ベルリン国際映画祭銀熊賞
3年連続受賞の快挙!!
6月16日より全国ロードショー
ライター:木香圭介
マルセルは民泊ができる一軒家で、おばあちゃんのコニーと暮らしている。
以前は家族や仲間たちと賑やかに暮らしていたが、ある日、2人を残して、みんないなくなって
しまったのだ。
2人の女性アーティストの友愛と連帯を描いた、
ホン・サンス監督お馴染みの長回し会話劇。
ライター:能登春子
映画を通して、正義を追求するスコセッシ監督の渾身の一作といえるだろう。
けれど、今の時代、携帯電話を持っていないことは大きな謎と障害になる。
ある木曜日、悟が婚約指輪を持って待つ「ぴあの」にみゆきは現れず、以来連絡が取れなくなって
しまう。
舞台は大阪。
ネリ(安藤サクラ)は特殊詐欺グループの「名簿屋」・高城
(生瀬勝久)の下で、通称・「三塁コーチ」として特殊詐欺
の中心を担っている。
左耳が聴こえないことや、元ヤクザの曼陀羅(宇崎竜童)や
博識ながら受け子として生きる通称・教授(大場泰正)など、
訳ありな貧困層が集うスラム街のアパートに住むネリには、
特殊な事情があるようだ。
ライター:能登春子
9月1日より全国ロードショー
ソニーのゲーム機、プレイステーションのドライビング
ゲームソフト「グランツーリスモ」は、本物さながらの
カーレースが体験でき、世界的な人気を集めている。
福江が生き生きとしているのは、恋をしているから。
ボランティア仲間の牧師・荻生(寺尾聰)に会うだけでうれしそうな福江のかわいらしいこと。
少女のように恋にときめく一方で、悩める家族たちにそっと寄り添う温かい母親の姿を体現する
福江を、吉永小百合が軽やかに演じている。
吉永のボーイッシュなショートカットがとても新鮮だ。
新たなトランスフォーマーたちが大活躍
パワーアップしたアクションシーンが楽しい!
ラジオのパーソナリティーを務めるGENERATIONSの
メンバー、小森隼は30年前に届いたまま放置されていた
『ミンナのウタ』と書かれたカセットテープを発見する。
収録後、そのカセットテープが気になった小森は
カセットテープを再生する。
以来、何かに怯えるようになった小森がこつ然と姿を
消してしまう。
さまざまなテクノロジー機器にトランスフォーム(変形)
できるロボット生命体“トランスフォーマー”たちの
戦いを描く、大人気アクションエンターテイメント映画
シリーズ7作目。
今年は、一世を風靡した映画『エクソシスト』(’73年)の公開から50年。
不思議な魔力がみなぎるオカルト・ホラーはやっぱり面白い!
新たなエクソシスト伝説に期待したい。
ひっそり生きてきた小さな貝たちが大きな人間世界で経験する出来事がコミカルかつ、
エモーショナルに描かれる。
PC画面に映る自分に感動したり、ディーンとふざけあったり、家族を探しに車で街へ
繰り出したりと、マルセルにとって初めての人間社会は刺激的だが、ほろ苦さも感じる。
前作『あなたの顔の前に』で主演したイ・ヘヨンが
小説家ジュニを演じ、ホン監督の公私に渡る
パートナーのキム・ミニが女優ギルスを演じる。
共演は、ソ・ヨンファ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、
キ・ジュボンらとホン監督作の常連俳優が顔を
揃えた。
日本でモロッコの長編映画が初めて公開されたのは、
今からわずか2年前の2021年というから驚きだ。
それほどまでにモロッコは日本から遠く離れた国
なのだろうか。
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ウィリアムを演じるのは『スター・ウォーズ』続三部作の主要キャラクターの1人、
ポー・ダメロン役で人気を集めたオスカー・アイザック。
米国軍刑務所というアメリカの“闇”を明らかにした意欲作である。
この忌まわしい現実に対してコミュニティーの女性たちはついに声を上げる。
女性全員で「1.赦す」「2.この地に留まり、男たちと戦う」「3.この場を去る」という選択肢の中から
投票を行うと、「1」が少なく、「2」と「3」が同数だった。
これまでは車にトランスフォームするロボット戦士
“オートボット”の活躍が描かれていたが、本作では
ロボットからゴリラやチーターなどの動物にトランス
フォームする“ビースト”が新たに登場。
南米・ジャングルを舞台に、オートボットを助け宇宙最悪
の敵と戦うその勇姿は、まさに“ビースト覚醒”だ。
ライター:能登春子
7月14日より全国ロードショー
ラッセル・クロウがオカルト・ホラーに挑む
実在のエクソシストと悪魔との壮絶な闘い
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やがてYouTubeの視聴者が家に押し掛けるようになり、コニーとの生活が脅かされたマルセルは
YouTubeの配信を止めるが、なんとテレビ番組『60ミニッツ』から、マルセルに出演オファーが入る。
監督を手がけるのは『ホテルビーナス』(’04年)のタカハタ秀太。
物語の中心になるのは、どんどんと悪の道へと突き進むネリとジョーの行く末。
脚本も手がけた原田監督は、原作では男性だった主人公を女性へと変更。
幼い頃から壮絶な経験をしてきたネリを通し、傲慢な強者がはびこる歪んだ現代社会を懸命に
生きようとする弱者の“あがき”を鮮やかに描いてみせた。
裏組織を相手に、物おじもせずに飄々と振舞うネリを安藤サクラが力強く演じている。
ロンドンのティーンエイジャー、ヤン(アーチー・マデクウィ)は車が大好きでいつかドライバーに
なることを夢見ていた。
「グランツーリスモ」に明け暮れるヤンはかなりの腕前になっていたが、堅実な父親からは
「ゲームばかりしていないで現実を見ろ」とたしなめられる。
大企業の人事部長を務める神崎昭夫(大泉洋)は
頭の痛い日々を送っていた。
仕事ではリストラを推進する会社の意向に従わざるを
えず、リストラ対象者の友人・木部(宮藤官九郎)から
逆恨みされてしまう。
また、家庭では離婚の危機にあった。
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清水監督が共同脚本を手がけたストーリーは、やがて歌を愛する女子中学生の過去へと
たどり着き、壮絶なクライマックスが待ち受ける。
清水監督は緩急を織り交ぜた恐怖演出で、終始ドキッとさせられる。
俳優として活躍している白濱や片寄のほかにも、関口メンディーや佐野玲於などが
清水監督の創り出す恐怖の世界の中で、新たな顔を見せている。
車からロボットへ変形するトランスフォームシーンは相変わらず小気味よく、カッコイイ。
さまざまな特徴を備えたロボットたちが縦横無尽に暴れ回る、スケールの大きなアクション
シーンが見どころだが、本シリーズが2007年の1作目以来、16年にわたり愛されているのは、
心を持つロボットたちが魅力的だからだろう。
ティーンエイジャーの娘エイミーは反抗期で扱いづらく、
幼い息子のヘンリーは父の死のショックでふさぎ込み、
1年もの間、まったく話せなくなっていた。
そうして、ノアとエレーナは地球を守るために戦うトランスフォーマーたちの壮大な戦いに巻き込まれて
いく。
1989年、夫を亡くしたシングルマザーのジュリア
(アレックス・エッソー)は、修復の仕事に携わるため
2人の子どもたちを連れて、スペインのサン・セバスチャン
修道院へやってくる。
小さな貝が堂々のスクリーンデビュー!
大きな世界へ飛び出す勇気をくれる感動作
マルセルは体長2.5センチの小さな貝。
ちょこんと付いた足にきちんと靴を履いて、
ちょこちょこ歩く姿はたまらなくかわいく、
マルセルの一挙手一投足に目を細めて
見入ってしまう。
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2022年製作/92分/韓国 原題:The Novelist's Film 配給:ミモザフィルムズ
実はハリムは同性愛者だが、ミナとハリムは強い愛と絆で結ばれていることがわかる。
病気で苦しむミナを献身的に支えるハリムに対し、ミナはユーセフとの愛を後押しする。
死期が迫る中、ハリムの幸せを心から願う健気なミナの姿に胸が熱くなる。
2018年に出版され、高い評価を受けたカナダ人作家
ミリアム・トウズの同名小説を映画化。
本作はポール・シュレイダーが脚本・監督を務めた
スリラー映画。
マーティン・スコセッシが製作を務めており、カード・
ギャンブルの世界を舞台に、心に傷を抱えた男の
ハードなドラマに仕上がっている。
トウズが2005~09年にかけて南米・ボリビアの
とある宗教コミュニティーで実際に起こった出来事に
着想を得たという小説は、性暴力を受けた女性たちの
決断を描いている。
いつもは、会話劇、一旦途切れて会話劇、また途切れて更に会話劇と、
とりとめのない話で進んでいくのだが、今回は最初から1本の筋ありで
進行している。
“一途に人を愛する”という、人の心に寄り添った“アナログ”的な愛し方が心に沁みる。
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ゲーマーからカーレーサーになったというのは驚きの事実である。
父親の冷たい目、仲間たちとの競争、厳しいジャックとの友情、
デビュー戦での事故、そして、ル・マンへの挑戦。
ヤンが苦悩しながらもレーサーの夢に向かって挑戦するストーリーは
ちょっと薄味だが、レースシーンこそ本作の主役。
本物のレースカーを、本物のドライバーたちが運転するレースシーンは
迫力満点だ。
スタントドライバーの中には、本作のモデルとなったヤン・マーデンボロー
もおり、自身のカーレースシーンのスタントをしている。
仕事も家庭も思い通りに行かない昭夫とは対照的に、福江はなんだか生き生きとしている。
髪を明るく染め、艶やかなファッションに身を包み、ホームレスを支援するボランティア団体で
仲間たちと楽しそうに活動している。
ライター:能登春子
“呪いのカセットテープ”から流れる歌とは?
GENERATIONS主演の本格ジャパニーズホラー
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不気味な修道院は恐怖の舞台に打ってつけで、何が起こるか分からないハラハラドキドキの
展開が堪能できる。
最も驚かされるのは、悪魔に憑りつかれるヘンリーを演じた12歳の子役ピーター・デソウザ=
フェオニー。
特殊メイクを施し、しゃがれたうなり声を上げ、恐ろしい悪魔を見事に演じ切っている。
おばあちゃんと2人だけの生活は大変だが、マルセルたちは創意工夫して穏やかに暮らしていた。
そんな時、映像クリエイターのディーンがマルセルたちの家に引っ越してくる。
そして、マルセルの生活を動画にしてYouTubeへの投稿を始める。
すると、おしゃべりでキュートなマルセルの動画は大バズリ。
そこでマルセルは動画で仲間たちの捜索を呼びかけることにする。
2022年・第72回ベルリン国際映画祭で銀熊賞
(審査員大賞)を受賞した監督27作品目は
モノクロ映画になっている。
強い絆で結ばれた夫婦の切ない愛の行方
神秘の国モロッコから届いた大人のラブストーリー
ウィリアムは普通に暮らそうとしていたが、青年カーク(タイ・シェリダン)により忌まわしい過去へ
引き戻される。
カークはかつて米軍刑務所いたカークの父がゴード(ウィレム・デフォー)という男のせいで
死へ追いやられたことからゴードに復讐を誓い、その手助けをウィリアムに頼む。
ゴードはウィリアムにとっても深い因縁のある男だった。
2010年、自給自足で生活する、あるキリスト教一派の村で、少女たちの体に次々と異変が
起こり出す。
朝目覚めると、寝る前にはなかったアザができていたり、出血をしていたり……。
驚く少女たちに対し、彼女らの母親たちは自分の娘を抱きしめることしかできなかった。
人生は山あり、谷あり。
良いことばかりじゃないけれど、それでも寄り添ってくれる家族や仲間たちがいたら
幸せに違いないと思わせてくれる。
本作は、世代を超えて人々を笑顔にし、元気づけてくれるだろう。
カセットテープという昭和的なモチーフが令和の時代に再び人気を博しているという。
“呪いのカセットテープ”という使い尽くされた恐怖アイテムの破壊力は健在だ。
古びたカセットテープから流れるノイズまじりの不安定な声や歌は、過去の怨念を想起
させるのにはぴったりで、やっぱり怖い。
一方、熱心な博物館の研究者エレーナ(ドミニク・フィッシュバック)は異星の秘密につながる発見を
したことから、地球破壊を企む宇宙最悪の災い“ユニクロン”から狙われてしまう。
監督と脚本を手がけたディーンは本人役で出演しており、共同脚本のジェニー・スレイトは
マルセルの声を演じている。あどけないマルセルの声もかわいらしくて、胸がキュンとする。
ライター:能登春子
文明の発達とともによりよい時代になるはずが、戦争、不景気、物価高、SNSでの誹謗中傷、
コンプラの強化など、生き辛さも一層増していくような現代。昔ながらの人情が息づく下町での、
ささやかな物語は心に深く沁みわたる。
それにしても、御年91歳の山田洋次監督の創り出す作品世界は本当に貴重である、
と再認識させられる。
GENERATIONSのマネージャー、角田凛(早見あかり)は、極秘裏に小森を探しだすために
探偵の権田(マキタスポーツ)に調査を依頼する。
権田に与えられた調査期間はライブ開催までのわずか3日間。
権田は他のメンバーたちが宿泊するホテルに滞在し、白濱亜嵐や片寄涼太らメンバーたちから
小森の失踪前の様子を聞き出す。
すると、メンバーたちはそれぞれ不審な行動を取り始める。
1994年、ニューヨーク・ブルックリン。
母親と病弱な弟と暮らす元陸軍二等兵の青年ノア
(アンソニー・ラモス)は、ひょんなことからポルシェに
トランスフォームしていたオーボットの戦士“ミラージュ”
と出会う。
ヴァチカンのチーフ・エクソシストとして、2016年に
91歳で亡くなるまで、数万回もの〈悪魔祓い〉を行った
ガブリエーレ・アモルト神父。
その体験を著し、ベストセラーを記録した回顧録
『エクソシストは語る』をベースにした、本格派の
オカルト・ホラー映画だ。
6月30日より全国ロードショー
『60ミニッツ』は実在する人気ドキュメンタリー番組で、マルセルも仲間たちと観ていた大好きな
番組という設定。
『60ミニッツ』の実際のアンカー、レスリー・ストールが本人役で出演する遊び心ある展開には、
マルセル、そして観る者にも人生で大切なことを教えてくれる驚きと感動のクライマックスが
待ち受ける。
ミナ(ルブナ・アザバル)と夫のハリム(サーレフ・バクリ)
は、夫婦2人でカフタンと呼ばれる伝統衣装の仕立て屋を
営んでいる。
寡黙なハリムは衣装の袖や飾りボタンなどに美しい手刺繡
を施すカフタン職人で、快活なミナは接客係として店を
切り盛りしていた。
ライター:能登春子
6月16日より全国順次ロードショー
著名な小説家だがスランプに陥り長らく執筆から遠ざかっているジュニは、音信不通に
なっていた後輩を訪ねるためソウルから離れた閑静な町の河南市へやって来る。
そこで偶然知りあった元人気女優ギルスに興味を抱いたジュニは、彼女を主演に短編映画を
制作したいと提案。
かつて成功を収めながらも人知れず葛藤を抱えてきた2人は、意気投合して映画制作を
することにする。
ある日、2人は芸術家肌で腕のいいハリムのもとに次々に
舞い込む注文をさばくため、ユーセフ(アイユーブ・
ミシウィ)と名乗る若い男性を助手として雇うことにする。
『タクシードライバー』のコンビが再び描く
アメリカの“闇”に傷つけられた男の狂気の
ドラマ
まず、アーミッシュに代表される閉鎖的なコミュニティーが今なお続いていることに驚かざるを
得ない。
女性には教育の機会がないなど、徹底的な男尊女卑の世界だが、それでも“受け入れれば”
生活には困らない。しかし、果たしてそこが安住の地なのだろうか?
実写映像とストップモーションアニメーションを融合し、手作りの温もりに
溢れた本作は製作に7年の歳月を費やしているという。
長年、男性映画監督を主人公にした作品を作り続けてきたホン・サンス監督は、キム・ミニと
出会ってから、主人公を女性にした作品に変わった。
今回は女性小説家が主人公だけど、いきなり短編映画が製作したいと言い出して、本当に
映画を作ってしまうという物語。
なので、以前の映画監督を主人公にしたパターンに戻ってしまった。
ところが、ミナは次第にハリムがユーセフに向ける視線が気になるようになる。
そんな感情を押し込めるようにミナはハリムと夫婦の時間を楽しもうとするが、ミナには胸に
秘めていることがあった。
病気が進行し、余命を悟ったミナは夫のためにある決断をする。
マーティン・スコセッシ監督の傑作ドラマ
『タクシードライバー』(’76年)の脚本家
として注目を集めたポール・シュレイダーは、
以降、『アメリカン・ジゴロ』(’80年)、
『魂の行方』(’21年)など、脚本家兼監督
として活躍している。
ライター:能登春子
6月2日より全国ロードショー
自らの尊厳を守るための女性たちの話し合い
今なお続く、忌まわしい問題を静かに問いかける
“魂の死”を受け入れながら生きていくことの理不尽を、読み書きさえできない非力な女性たちが
一生懸命に話し合う。
8人の女性たちによる納屋での議論が淡々と続くが、さまざまな立場や経験からくる言葉には
説得力があり、深く考えさせられる。
前時代的な衣装に身を包む女性たちの姿から昔話のような印象も
受ける。
けれども、2017年、ハリウッド女優たちが声を上げた「#Me too」
ムーブメントでようやく世界的に広がった、今なお続く闘いの物語である。
製作を手がけるのは、出演もしている女優のフランシス・マクドーマンド。
製作総指揮にはブラッド・ピットも名を連ねている。
性暴力に限らず、弱者をいたぶる卑劣な行為がはびこる世の中に
一石を投じた作品として、ぜひ観てほしい。
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そして、最終的な決断はさまざまな世代や立場の女性8人が納屋に集まり、話し合いで決める
ことに。
女性たちに許された時間は青年が保釈されるまでの2日間だった。
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正義の味方オートボットに加え、新たに登場した勇敢なビースト勢力“マクシマル”の戦士たちは
とても渋くて、カッコイイ。
新たな敵となる“テラーコン”との壮絶な戦いを描くアクションシーンでは、強いだけでなく、
仲間を思う優しさにあふれたトランスフォーマーたちの姿に思わず胸が熱くなる。
古びた修道院に住み始めた一家は数々の異変に見舞われ、ヘンリーが悪魔に憑りつかれて
しまう。
一家を救うためアモルト神父(ラッセル・クロウ)はローマ教皇から直接依頼を受け、修道院へ
向かう。
監督は『グリード 炎の宿敵』(’18年)のスティーブン・ケイブル・Jr.。19歳の時に
1作目を観て、「すぐにファンになった」というケイブル監督の熱い思いと若々しい
視点が映画に勢いを与えている。
製作にはアクション映画のヒットメーカー、マイケル・ベイ、製作総指揮には
スティーブン・スピルバーグが名を連ねている。
植木鉢の中に置かれている貝殻を主人公に、映像
クリエイターのディーン・フライシャー・キャンプが
2010~14年にかけてYouTubeに公開した短編作品は、
累計再生回数5000万回を記録。
愛らしくて、好奇心旺盛で、聡明で、ハートフルな
マルセルの愛と勇気の物語が長編映画になって登場
した。
6月30日より全国ロードショー
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イスラムの戒律ではタブーとされる同性愛を盛り込んだ野心的な作品だが、伝えたいことは、
勇気を出して自分らしく生きることだ。
ミナの愛を受けて、ハリムがとった行動とは?
ミナを演じたルブナ・アザバルは壮絶なダイエットを行い、病気で次第にやせていくミナを体現。
女性らしい身体と共に夫からの愛が失われることを恐れ、哀しみながらも、強く生きようとする
ミナを好演している。
また、自らの愛の形に苦悩するハリムを演じたのは『迷子の警察音楽隊』(’07年)の
サーレフ・バクリ。
ホラー映画初主演のラッセル・クロウは、まるで晩年のショーン・コネリーのような風貌で、
悪魔にも動じない威厳あるアモルト神父を大熱演。
悪魔との激しいアクションシーンでも重厚感のある演技を披露している。
ウィリアム・テル(オスカー・アイザック)は米国軍刑務所に10年間服役し、独学で
「カード・カウンティング」と呼ばれるカードゲームの勝率を上げる裏技を習得する。
出所したウィリアムはカジノを渡り歩いていたが、ギャンブル・ブローカーのラ・リンダ
(ティファニー・ハディッシュ)に誘われ、大金が稼げるポーカーの世界大会へ出場する
ことになる。
脚本・監督を手がけたのは、『死ぬまでにしたいこと』
(’02年)の女優サラ・ポーリー。
長編映画監督デビュー作『アウェイ・フロム・ハー
君を想う』(’06年)など製作者としても豊かな才能を
発揮するポーリーの冷静な目が鋭く光っている。
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GENERATIONSのライブシーンもあり、ファンはとっても楽しめるだろうが、本格派の
ホラー映画としても見応えある。暑い夏、ゾクッとしたい人はぜひ映画館へ!
監督・脚本を手がけたのは女流監督マリヤム・トゥザニ。
日本で初めて公開された記念すべきモロッコ映画『モロッコ、彼女たちの朝』('19)は
彼女の監督デビュー作である。
『モロッコ、彼女たちの朝』は高い評価を受け、2作目となる本作も2022年
カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞、米アカデミー賞外国語映画賞の
モロッコ代表になるなど、世界的な注目を集めている。
ひどい虐待が行われているであろう米国軍刑務所での不穏なシーンから映画は始まる。
そこで10年を過ごしたウィリアムは一体どんな男なのか?
物静かながら、どこか狂気を感じさせるウィリアムの運命の旅路がクールなカードゲームシーン
とともに描かれる。
しかし、1人の少女が寝室に忍び込む青年を発見したことから事態が動く。
青年は警察に逮捕されるが、2日間で保釈されることになっていた。
このコミュニティーでは少女たちへの性暴力は公然と行われていたのだ。
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キャラクター、ストーリー、映像とすべてが良質。小さなマルセルの、ささやか
だけど最高の生活をぜひ大きなスクリーンで観てほしい!
ミナとハリムの日常が淡々と描写される。
2人が置かれた状況を知るために、かなり想像力を求められるが、映像が物語を語る、まさに
映画的な世界はシンプルでとても心地よい。