犬との触れ合いをユーモラスに描く
韓国から届いたハッピーな群像劇
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華やかな経歴とは裏腹に、一人暮らしのミンソは日々の
食事をデリバリーで済ませる孤独な生活を送っている。
いつも来る配達員ジヌ(タン・ジュンサン)に愛想のない
態度をとっていたミンソだが、行方不明になった愛犬
フレンチブルドック「ワンダ」を探すためジヌに協力を
依頼する。
そこにミンソと親しくなりたいミンサンも加わる。
しかし、DOG DAYSの顧客に有名建築家のミンソ
(ユン・ヨジョン)がいることを知ったミンサンは、ジニョン
にミンソを紹介してもらうため、ジニョンが助けた保護犬、
チワワの「車長さん」を預かることになる。
純粋無垢な犬たちが人々の温かい心を呼び覚ます。
厳しい現実に心が疲れていたら、ぜひ観てほしい癒しと
愛にあふれた韓国映画だ。
きっちりした性格の独身男性ミンサン(ユ・ヘジン)は
1階を間貸しする動物病院〈DOG DAYS〉のせいで
自宅ビル周辺に常に犬のフンが転がっていることに怒り、
院長ジニョン(キム・ソニョン)に「契約を打ち切る」
と息巻く。
その頃、バンドマンのヒョン(イ・ヒョヌ)は外国へ行く恋人から預かったゴールデンレトリバー
「スティング」を持て余していたが、「スティング」が異物をのどに詰まらせたことからDOG DAYS
へ駆け込む。
動物病院〈DOG DAYS〉を中心に、犬を通して見知らぬ他人同士が関わりあう群像劇が
展開する。
ミンサンが犬のフンを踏んでしまうシーンから始まる物語はユーモラスでハートフル。
犬との接点のなかった人々が無邪気な犬たちと触れ合ううちに心がほだされ優しくなっていく
姿は微笑ましい。
11月1日より公開
ライター:能登春子
そんな中、「ワンダ」は作曲家のソニョン(チョン・ソンファ)とジョンア(キム・ヨンジン)夫妻が
養子に迎えた少女ジユの元にいた。
ジユは悲しい過去から心を閉ざしていたが「ワンダ」と暮らすことで笑顔を取り戻し、夫妻とも
心を通わせていく。
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犬たちがつないだ縁はやがて愛や夢、家族の絆などを育み、人々も
犬たちも幸せにする。
大団円のラストシーンまで、ずっと微笑んで観ていられる良作だ。
『ミナリ』で韓国人として初めて米アカデミー賞助演女優賞に輝いた
ユン・ヨジョンのほか、韓国映画界のヒット請負人と評される実力派
俳優ユ・ヘジン、韓国の大ヒットドラマ『SKYキャッスル~上流階級の
妻たち~』のキム・ソヒョン、伝説のアクション映画『シュリ』のキム・
ヨンジンなど、日本でも知られる韓国の人気俳優たちが豪華共演を
果たしている。
チワワやフレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバーら犬たちの情感豊かな
名演も見どころだ。
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CINEMAライター 能登春子/木香圭介/宮島一美/石倉ことこ
11月8日よりIMAX限定公開
ライター:能登春子
IMAXスクリーンで極上のバレエ体験
世界が注目する『白鳥の湖』が限定公開
クラシック・バレエは人間の肉体が生み出す芸術の
最高峰ではないだろうか。
肉体の限界を超えて、つま先立ちで踊るバレリーナ
たちの手指の先まで神経の行き届いた動きの美しさに
素直に感動する。
350年以上の歴史を誇るバレエの殿堂パリ・オペラ座
バレエ団による『白鳥の湖』をIMAXカメラで収録した
『パリ・オペラ座 白鳥の湖』が11月8日より7日間限定
公開される。
オフィシャルサイト
今年2月に開催されたパリ・オペラ座バレエ団の来日
公演でも、『白鳥の湖』のチケットは瞬く間にソールド
アウトとなった作品である。
監督・脚本は『ピンポン』(’02年)、『鋼の錬金術』シリーズ(‘17~’22年)の曽利文彦。
VXFに長けた監督ならではの、突き抜けたアクションファンタジーに徹したほうが
シンプルに楽しめたかもしれない。
リーたちが道中で遭遇する戦場のエピソードは強烈で、とても恐ろしい。
とくに仲間であるはずの国民同士が戦う狂気を表したエピソードは圧巻だ。
さまざまな危険を乗り越えて、たどり着いたワシントンD.C.での戦いを描いた映画終盤も
見せ場が満載で、ラストシーンまで本当に面白い。
監督・脚本は、イギリスの鬼才として注目されるアレックス・ガーランド。
ダニー・ボイル監督のホラースリラー『28日後……』(’07年)で脚本家デビューを飾り、
監督デビュー作『エクス・マキナ』(’15年)の独創的な映像世界で高い評価を受けた。
吉井(菅田将暉)は町工場に勤めながら、“ラーテル”というハンドルネームを使い、転売で
日銭を稼いでいた。
転売の仕事を教わった高専の先輩・村岡(窪田正孝)からの“デカい話”や勤務先の社長・
滝本(荒川良々)からの昇進の打診を断り、真面目にコツコツ転売業に励んだ吉井は順調に
売り上げを伸ばし、郊外の湖畔に建つ瀟洒な邸宅に自宅兼事務所を構え、恋人・秋子
(古川琴音)と共に移り住む。
何台ものパソコンを所有し、地元の若者・佐野(奥平大兼)を雇い、ますます転売業に注力する
吉井だが、誰かに狙われているような不審な出来事が相次ぐ。
そんな2人が謎のSOSメッセージを受けたことから、
サイバトロン星で密かに進行する陰謀に気づく。
この度、今年6月にパリのオペラ・バスティーユ劇場での
最新公演が全世界のIMAXシアターで同時公開される。
10月25日より全国ロードショー
ライター:能登春子
ジークフリード王子と、悪魔ロットバルトの魔力により白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫
との悲恋の恋の物語は、全4幕で構成されている。
伝記映画とファンタジー映画の融合
滝沢馬琴の半生を描く斬新な『八犬伝』
第1幕ではジークフリード王子の誕生日の祝宴に向けた準備が行われ、
淡い色合いの軽やかな衣装に身を包んだバレエダンサーたちが華やかに
舞い踊る。
第2幕では、理想の愛を求める王子が湖のほとりで白鳥の姿になった
オデット姫と出会う。
江戸時代に、滝沢馬琴が28年の歳月を費やして
書き上げた全98巻、106冊に及ぶ壮大なファンタジー
小説『南総里見八犬伝』は新刊を心待ちにした
江戸時代の人々はもとより、小説だけではなく映画や
舞台、歌舞伎などさまざまなエンターテイメント作品
へと昇華され、時代を超えて多くの人々を楽しませて
いる。
10月4日より全国ロードショー
ライター:能登春子
『エブリシング・エブリウェア・アール・アット・ワンス』(‘22年)など、
奇想天外な作品で人気を博す映画スタジオA24が過去最高額の
予算を投じて製作した戦争アクション大作は、アメリカのみならず
世界的に政治家による失政への不満が高まる今、観るべき問題作
である。
互いの素性が知れないインターネットでのやり取りは人の善悪の判断を狂わせる。
金儲けに走り、アコギな転売を重ねる吉井は、実はさまざまな人の恨みをかっている。
吉井に被害を受けた者もいれば、吉井の成功をねたむ者や吉井の無礼な態度に怒る者など、
理不尽な恨みを抱く者もいるが、吉井が安易にインターネットを使った結果生まれた憎悪が
彼に襲いかかる。
これまでの作品のような実写ではなく、登場するのはトランスフォーマーたちだけ。
まるで人間のような豊かな表情、スピード感あふれるトランスフォーマーたちの動き、きらびやかで
精緻なサイバトロン星の光景など、最新CG技術を駆使した最先端の映像世界に驚かされる。
ある日、アールイは遠くに引越した長年の常連客が病床にあると知り、店を休み、出張散髪に
行くことにする。
チュアンはアールイを心配し、同行することを申し出る。
ところがチュアンに急な仕事が入ったことから、アールイはたった一人で愛車に乗り、見知らぬ
町を目指す。
ライター:能登春子
8月16日より全国ロードショー
東京の片隅で暮らす21歳の女性カナ(河合優実)は、
元クラスメイトが自殺しても真剣味がなく、ホストクラブで
気晴らしし、同棲相手がいても刺激を求めて浮気し、美容
脱毛サロンの仕事もあまりやる気がなさそう。
楽しそうに笑っていても心の中は虚無感でいっぱい。
世の中にも自分の人生にも退屈しきり、どこにもやり場の
ない感情を抱えながら毎日を生きている。
いびつな人間関係から生まれる心の闇
涙の女王チェ・ジウが恐怖の世界へ
韓国ホラー映画歴代興収第2位を記録した『コンジアム』
のチョン・ボムシク監督の待望の最新作は、日常に潜む
恐怖を描くスリラー。
大ヒット韓流ドラマ『冬のソナタ』のチェ・ジウが7年ぶりに
映画出演を果たすほか、男性アイドルグループSHINee
のチェ・ミンホ、国民的歌手のチョン・ドンウォンなど、
韓国の人気スターが顔を揃えているのも見どころだ。
8月16日より全国ロードショー
ライター:能登春子
オフィシャルサイト
さまざまな映画や音楽をオマージュした小ネタがちりばめられているのも
ニヤリとしてしまう。
ゲイルの元カノで『メタルストーム』の監督に抜擢されたジョディを演じるのは、
エミリー・ブラント。
『オッペンハイマー』(’23年)で米アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた
実力派女優のエミリーはゴズリングとともにコミカルでチャーミングな姿を見せ、
はちゃめちゃなアクションシーンもかっこよく決めている。
さまざまなトランスフォーマーたちが入り乱れ、緻密に練り上げられた
ストーリーは少々複雑だが、息をつかせぬ展開でよくできている。
正義のオートボットを率いる司令官オプティマスプライムと、冷酷な
ディセプティコンのリーダー、メガトロンとの間にある悲しい宿命が
明らかになり、また新たな視点で2人の闘いをみられるだろう。
離婚や仕事の悩みを抱えるリン、友人を思うあまりリンとの家庭を疎かにしてしまったチュアンなど、
うまくいかないことがありつつも、何とか前を向いて生きようとする人々に共感してしまう。
「いるいる」と思えるキャラクターや、「あるある」と思えるエピソードの数々に自然に引き込まれる。
第4幕では、自身の過ちに気づいた王子がオデットを追いかけるが…
バレエダンサーたちの表情や肉体の動きをクローズアップした映像はとても貴重だ。
2人のエトワールたちの身体を流れる汗を見ていると、バレエのハードさがよく分かる。
江戸時代の人気作家・滝沢[曲亭]馬琴(役所広司)は、友人の絵師・葛飾北斎(内野聖陽)に
構想中の物語を聞かせる。
それは室町時代、安房国の領主・里見義実が主君を惑わせ操った悪女・玉梓(栗山千明)を処刑
したことから始まる奇怪な物語だ。
その話に驚嘆した北斎はその場で下絵を描き上げるが、馬琴が正式に挿絵を頼むと下絵を破り
捨ててしまう。
しかし、話の続きが気になる北斎は馬琴の元へ通い、新しい話を聞くたびに下絵を描くが、決して
馬琴には渡さない。
そうして創り続けた馬琴の『南総里見八犬伝』は評判になっていく。
ライター:能登春子
3期目の大統領任期のために憲法を改正した独裁的な
アメリカ大統領(ニック・オッファーマン)に反発して
19の州が連邦政府から離脱。
アメリカの各地でテキサスとカルフォルニアの同盟から
なる西部勢力と政府軍による激しい武力衝突が繰り広げ
られていた。
政府軍の敗戦が濃厚になる中、ニューヨーク在住の
戦場カメラマンのリー(キルスティン・ダンスト)と記者の
ジョエル(ワグネル・モウラ)は14ヶ月間一度も取材に
応じていない大統領への単独取材を計画する。
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カナとハヤシのぶつかり合いは、あまりの激しさに
驚かされるが、痛快で微笑ましくも映る。
破滅的なカナは賛否の分かれるキャラクターだが、
河合優実の緩急自在の演技は見応えがある。
河合優実は女優になる前に観た『あみこ』に感銘を受け、
山中監督に「いつか出演したい」と伝えていたという。
そんな河合の情熱がカナを血の通った人間にしている
のかもしれない。
一方、デートアプリでマッチングした相手とカフェで待ち合わせたヒョンス(イ・ユミ)の前に
意外な人物が現れる。
4日間の間に、6人の主人公がそれぞれ経験する恐怖の出来事が6編のオムニバス形式で
描かれる。
4日間の時系列はバラバラで、トップバッターのチェ・ジウのエピソードは2日目の出来事に
なっている。
腕利きのスタントマン、コルト・シーバース(ライアン・ゴズ
リング)は、アクションスターのトム・ライダー(アーロン・
テイラー=ジョンソン)の代役として数々のアクションを
こなしてきたプロ中のプロ。
しかし、フォールガイ(スタント用語で、高所から落下する)
で失敗してしまい、心身のダメージから業界を去る。
さまざまな品物を買い占め、高値で販売し、
金儲けをする。
製作者の思いを踏みにじり、購入者の弱みに
つけこむ転売業がインターネットの中にあふれて
いる。
9月20日より全国ロードショー
ライター:能登春子
ライター:能登春子
ネット社会が生み出した狂気の世界
菅田将暉が恐怖のサバイバルゲームに挑む
9月20より全国ロードショー
第3幕では、いよいよ王子の誕生日の祝宴が始まる。
オデットと真実の愛を誓った王子の前にオデットになりすましたロットバルトの娘オディールが
現れる。
王子は黒鳥となったオディールをオデットと思い込み、結婚を誓う。
唯一無二の世界観を持つ、奇想天外な物語はいかにして
書き続けられたのか?
『八犬伝』の創作にかけた滝沢馬琴の壮絶な半生と、
彼が苦悩や葛藤の末に生み出した『八犬伝』の物語が
鮮やかによみがえる。
9月27日より全国ロードショー
純白のチュチュを身につけた32羽の白鳥たちとオデットが美しいフォーメーションを描き、
流麗なバレエを見せる。
舞台の真上から捉えた映像もあり、チュチュが舞台一面に広がる光景はため息ものの
美しさだ。
政治家の失政が招いた現代のアメリカ内戦
恐怖と狂気と驚愕の戦争ロードムービー
オフィシャルサイト
吉井と、彼に恨みを抱く者たちとの壮絶なサバイバルゲームはスリル満点。
菅田、窪田、荒川など実力派俳優たちの鬼気迫る演技は見ものだ。
インターネットを経由した“実態のない”サービスを意味する
「Cloud(クラウド)」。
SNSでの誹謗中傷や炎上などがエスカレートする昨今、バーチャル上で
生まれた悪意や憎悪がリアルな世界に侵食する狂気と恐怖を肌で感じて
ほしい。
感情移入を誘う素晴らしいロボットたちの活躍に今後も期待したい。
監督を手がけるのは、『トイ・ストーリー4』のジョシュ・クーリー。
アールイが帰る家には、「本日公休」の理由を知らなかった3人の子どもたちがアールイを心配
して待っている。
誰かのために行動した母の姿は訳ありな子どもたちを笑顔にし、家族の絆をより深めていく。
〈楽しいはずなのに、心が満たされない〉〈そもそも、自分にとって楽しいことって何?〉〈自分は
本当は何がしたいのか?〉。
人生が退屈なのは自分が本当にやりたいことをしていないからに違いない。でも、自分の欲求が
分からない人は案外多いのではないだろうか?
アクションスタントマンへの愛にあふれた
ライアン・ゴズリング主演の痛快アクション映画
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韓国ソウルで女性ばかりを狙う連続殺人事件が発生し、
世間を賑わせていた。
ある日、マンションで一人暮らしをしているヒョンジョン
(チェ・ジウ)の部屋に「火災報知機の点検をしに来た」
という不審な中年男性が訪れる。
警戒するヒョンジンをよそに男は無理やり部屋に入り込み
部屋中の火災報知機を点検して回るが、何を仕出かすか
分からない雰囲気を醸しだしていた。
ハラハラ、ドキドキ、ワクワクするようなアクション映画が
生まれるのは、危険なアクションシーンに命がけで挑む
スタントマンがいるからこそ。
「フォールガイ(身代わりの人)」と呼ばれる、名前も顔も
知られない影のヒーロー、スタントマンに光を当てた、
とびきりイカしたアクション映画が登場した。
迷いながらも何とかたどり着いた常連客の家で、アールイが心を込めて散髪を施す姿が清々しい。
現実の痛みを受け入れ、自分にできる精いっぱいなことをやる。
そんな人としてあるべき姿が丁寧に描かれ、しみじみと心に沁みる。
浮気相手のハヤシ(金子大地)から愛を告白されたカナは、優しい恋人・ホンダ(寛一郎)の
前から黙って消え、ハヤシと同棲を始める。
新しい生活に胸躍らせる2人だが、やがて些細なことから衝突するようになる。
本作は、『魔界転生』『妖怪太閤記』などで知られる
昭和の“伝記作家”山田風太郎が斬新なアプローチで
『八犬伝』の魅力を伝えた同名小説の映画化。
日本では南北戦争として知られる、シビル・ウォー
(市民戦争)とは1861~65年にかけて奴隷制度などを
めぐり、アメリカが南部と北部の州に分かれて戦った
アメリカ内戦のこと。
かなり煽情的なタイトル通り、現代に起こったアメリカ
内戦の顛末を描いた本作は決して絵空事とは思えない
生々しい恐怖に満ちている。
公演時間は2時間20分。ソロやペア、群舞など多彩なバレエが次々に展開し、まったく飽きさせ
ない。
バレエダンサーたちの超人的な身体の動きに圧倒される。
オデットとオディールを演じるのは、同団でアジア人初のエトワールに
任命された韓国出身のパク・セウン。
ジークフリード王子にはポール・マルク。
2人は今夏のパリ・オリンピック2024の開会式で聖火リレーを行った
ことでも知られる。
気まぐれな北斎のほか、創作に理解を示さない妻・お百(寺島しのぶ)や、執筆を手伝う優しい
息子・宗伯(磯村勇斗)などに囲まれた馬琴の日常を描く伝記パートと、馬琴が創作する『八犬伝』
を描くファンタジーパートがシャッフルしたユニークな構成である。
リーの恩師であるベテラン記者サミー(スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン)、さらに
成功をめざす若手女性カメラマンのジェシー(ケイシー・スピーニー)を加えた一行は取材車で
ワシントンD.C.へ向かう。
映像、ストーリーともに考え抜かれた
迫真的なロボットたちの世界に圧倒
大切な店を休んで届けた優しい心
誰かのために行動する母の姿が胸を打つ
「生活を変えたい」という単純な動機から、地道に
働くことを止め非情な“転売ヤー”となった若者の身に
起こる恐怖を描く。
『CURE』(’97年)、『岸辺の旅』(’15年)、
『スパイの妻』(’20年)など、
ミステリータッチの作風が世界的な
評価を受ける黒沢清監督と、
変幻自在の怪優・菅田将暉が
タッグを組んだサスペンススリラーだ。
20年にわたり続く、人気ロボットヒーローアクション
映画『トランスフォーマー』シリーズ。
8作目となる本作は、トランスフォーマーたちの故郷
サイバトロン星を舞台に、トランスフォーマーたちの
ルーツが描かれる。
ライター:能登春子
忙しくない毎日を生きる人々へ。
たった1日の切なくて、温かい「休みの日」の出来事を
見て、心を穏やかにしてほしい。
人を労り、思いやる心の大切さを描いた癒しあふれる
台湾映画だ。
9月6日より全国ロードショー
バレエ界初の試みとなる大迫力のIMAX映像と音響で楽しむ『白鳥の湖』は、
バレエファンも初心者も、未知なるバレエ体験ができるだろう。
晩年には失明するなど度重なる悲劇に見舞われる馬琴だが、それでもある信念のために
『八犬伝』を書き続ける。
実力派俳優が揃ったシリアスな伝記パート、VFXを駆使したド派手なファンタジーパート。
どちらも悪くないのだけれど、ぶっ飛んだファンタジーパートの後に真面目な伝記パートが
来るとファンタジーパートが漫画チックに見えてしまうし、現実に引き戻された感が強く、
消化不良が否めない。
かといって、シリアスな伝記パートだけなら重々しく、盛り上がりに欠けるだろう。
雄大な自然に囲まれたハイウェイからの景色はのどかに見えるが、ひと度、人に出会うと
敵か味方か分からずに銃を向けられる。
買い物に立ち寄ったガソリンスタンドや、民兵グループによる銃撃戦など、リーたちは死が
身近にある恐怖をひしひしと感じながら、おぞましい内戦の光景をカメラに収めていく。
サイバトロン星の地下都市で働く労働ロボット、オライオン
パックスはヒーローに憧れる若者。
挑戦的でいつもパワフルに動き回り、無鉄砲な行動も
しばしば。
一方、D-16は規則正しくルールに従順で、やんちゃな
オライオンパックスにいつも振り回されていた。
だが、性格は対照的でも2人は固い友情で結ばれていた。
台中の下町で40年にわたり理髪店を営むアールイ
(ルー・シャオフェン)は、客たちがそれぞれの思いを
込めた注文に真摯に応えたり、顔を見せない常連客を
心配して電話をかけたりと、勤勉で心優しい。
彼女は1人で育て上げた3人の子どもたちの不安定な
生活を心配しているが、子どもたちはアールイの親心など
お構いなしだ。
そんな中、次女リン(ファン・ジーヨウ)の別れた夫チュアン
(フー・モンボー)は幼い息子を散髪に連れてくるなど、
アールイを気にかけてくれていた。
河合優実が熱望した山中瑶子監督作
混とんとした現代を生き抜く力が湧いてくる
オフィシャルサイト
シリアスとコミカルなノリが共存する、日本の人気テレビドラマ
『世にも奇妙な物語』的なオムニバス作品だが、一部の
キャラクターが思わぬ形で出会っており、6編のエピソードが
さりげなく交錯しているのが本作の妙味。
エピソードによって良くも悪くも印象が変わる人々を見ていると、
表面からは計り知れない闇をもつ人間の怖さが感じられて、
背筋がヒンヤリと寒くなる。
SNS、ストーカー、孤独な都会人など、現代の社会問題を
絡めて、いびつな人間関係がもたらす異様な世界を描き
切っている。
さまざまなスタントをこなし誇り高いスタントマンの矜持を見せる一方で、素のコルトは飄々として
いたり、やさぐれ感があったりと、実に人間味あふれるキャラクター。
絶対的なヒーローではないコルトが頑張る姿と、アクション俳優ではないゴズリングが奮闘する姿が
重なり、コルト=ゴズリングを次第に応援したくなってくる。
19歳の時に自主制作した初監督作『あみこ』(’17年)
が世界的な評価を得た山中瑶子監督と、昭和の不良
少女を茶目っ気たっぷりに演じたテレビドラマ『不適切
にもほどがある』で大ブレイクを果たす前から、数々の
映画やドラマで鮮烈な印象を残してきた女優・河合優実。
新時代の表現者として独特の存在感を放つ20代の2人の
女性が共鳴し合い、混とんとした現代を迷いながら生きる
人々に向け、驚くべき物語を生み出した。
映画のプロモーションでは
18年ぶりに来日したチェ・ジウ
監督は『ジョン・ウィッグ』シリーズや『デッドプール2』など、アクション映画監督として
注目を集めるデヴィッド・リーチ。
元スタントマンの経歴を持つリーチ監督は、本作に20年間にわたるスタントマン時代を含め、
自らが生きてきた世界〈映画〉への愛をたっぷり込めている。
裏方のスタントマンの活躍やアクション映画製作の舞台裏、そして奇想天外なアクションシーン
など、映画好きならすべてが興味深く楽しめるだろう。
オフィシャルサイト
『スパイダーマン』シリーズのキルスティン・ダンストが心に傷を抱えた
戦場カメラマン・リーを貫禄たっぷりに演じている。
オフィシャルサイト
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アールイを演じた名優ルー・シャオフェンは本作で22年ぶりに俳優業に
復帰し、映画主演は24年ぶりとなる。
そして、静かな存在感のある演技で第25回台北電影奨最優秀女優賞に
輝いた。
台湾の俊英フー・ティエンユー監督が自身の母親を元に脚本を書き上げ、
台中にある実家の理髪店で撮影を敢行し、3年の歳月を経て完成された。
監督のひたむきで優しい思いが込められた作品は多くの人の心に響くはずだ。
社会の足かせで自分の望みを実現できない人も多いだろうが、若いうちなら抑圧された社会を
打ち破るパワーも必要なのではないだろうか?平穏なハヤシとの生活でも、心が満たされない
カナは躁鬱気味になりエキセントリックな言動でハヤシを困らせる。
しかし、ハヤシはめげずにカナのやり場のない思いを体を張って受け止めるのだ。
本作は山中監督の本格的な長編映画第1作となるが、
第77回カンヌ国際映画祭で監督週間に正式出品され、
女性監督として史上最年少となる
国際映画批評家連盟賞受賞の快挙を果たした。
注目の作品である。
他にも、孤独な大学生フン(チェ・ミンホ)が自動販売機の
取り出し口で見つけた手紙に導かれるエピソードや、
受験生のスンジン(チョン・ドンウォン)が車椅子の女性を
助けるエピソードなど、物騒な殺人事件が起こる中でも、
自分はそんなこととは無縁と思っている普通の人々が突然、
死の恐怖に直面することになる。
18ヵ月後、レストランの駐車係をしていたコルトはプロデュー
サーのゲイル(ハンナ・ワディンガム)の依頼で、シドニーで
撮影中のトムのアクション主演作『メタルストーム』で
スタントマンに復帰する。
ところがゲイルはコルトにもう一つ“仕事”を依頼する。
それは、なんと撮影中だった主演のトムが行方不明になり、そのトムを探すことだった。
トムを探すコルトが次々にトラブルに巻き込まれ、ド派手なアクションが展開する。
『きみに読む物語』(‘04年)、『ラ・ラ・ランド』’16年)など、演技巧者のライアン・ゴズリングが
果敢にアクションシーンをこなしているのが新鮮だ。