自らの尊厳を守るための女性たちの話し合い
今なお続く、忌まわしい問題を静かに問いかける
CINEMAライター 能登春子/木香圭介/宮島一美/石倉ことこ
トウズが2005~09年にかけて南米・ボリビアの
とある宗教コミュニティーで実際に起こった出来事に
着想を得たという小説は、性暴力を受けた女性たちの
決断を描いている。
この忌まわしい現実に対してコミュニティーの女性たちはついに声を上げる。
女性全員で「1.赦す」「2.この地に留まり、男たちと戦う」「3.この場を去る」という選択肢の中から
投票を行うと、「1」が少なく、「2」と「3」が同数だった。
シネマプレイスがお届けするおすすめ映画レビューは独自の視点で新作映画をご紹介しています
2018年に出版され、高い評価を受けたカナダ人作家
ミリアム・トウズの同名小説を映画化。
しかし、1人の少女が寝室に忍び込む青年を発見したことから事態が動く。
青年は警察に逮捕されるが、2日間で保釈されることになっていた。
このコミュニティーでは少女たちへの性暴力は公然と行われていたのだ。
6月2日より全国ロードショー
ライター:能登春子
2010年、自給自足で生活する、あるキリスト教一派の村で、少女たちの体に次々と異変が
起こり出す。
朝目覚めると、寝る前にはなかったアザができていたり、出血をしていたり……。
驚く少女たちに対し、彼女らの母親たちは自分の娘を抱きしめることしかできなかった。
まず、アーミッシュに代表される閉鎖的なコミュニティーが今なお続いていることに驚かざるを
得ない。
女性には教育の機会がないなど、徹底的な男尊女卑の世界だが、それでも“受け入れれば”
生活には困らない。しかし、果たしてそこが安住の地なのだろうか?
“魂の死”を受け入れながら生きていくことの理不尽を、読み書きさえできない非力な女性たちが
一生懸命に話し合う。
8人の女性たちによる納屋での議論が淡々と続くが、さまざまな立場や経験からくる言葉には
説得力があり、深く考えさせられる。
シネマプレイスはあんか通販とともに、楽しい情報をお届けいたします。
前時代的な衣装に身を包む女性たちの姿から昔話のような印象も
受ける。
けれども、2017年、ハリウッド女優たちが声を上げた「#Me too」
ムーブメントでようやく世界的に広がった、今なお続く闘いの物語である。
製作を手がけるのは、出演もしている女優のフランシス・マクドーマンド。
製作総指揮にはブラッド・ピットも名を連ねている。
性暴力に限らず、弱者をいたぶる卑劣な行為がはびこる世の中に
一石を投じた作品として、ぜひ観てほしい。
脚本・監督を手がけたのは、『死ぬまでにしたいこと』
(’02年)の女優サラ・ポーリー。
長編映画監督デビュー作『アウェイ・フロム・ハー
君を想う』(’06年)など製作者としても豊かな才能を
発揮するポーリーの冷静な目が鋭く光っている。
そして、最終的な決断はさまざまな世代や立場の女性8人が納屋に集まり、話し合いで決める
ことに。
女性たちに許された時間は青年が保釈されるまでの2日間だった。
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やがてクリスタの件で告発されたターは楽員の何者かの陰謀を疑い、闇落ちしていく―。
ライター:能登春子
6月2日より全国順次ロードショー
密室を舞台にした挑戦的な恋愛劇
“愛”を求めた男たちの結末に驚く
今年、日本ではフランスの名匠、フランソワ・オゾン
監督作の公開が続いている。
2月公開の『きっとうまくいきますように』(’21年)に
続いて登場した本作は、オゾン監督らしい、ひねりの
効いた恋愛ドラマ。
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厳格なターは時に非情な面も見せるが、徹底したこだわりが素晴らしい音楽を生み出し成功を
収めたのだろう。
そんな元々の激しい気性に加え、成功から生まれたターの慢心と保身が楽員たちの心に
暗い影を落とす。
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ゴミ処分場を見学に来る人々との交流を通し、明るくなっていく優。
霞門村の取り組みはマスコミに取り上げられ、優はゴミ処分場のPRのためテレビ出演を果たし、
美咲とも結ばれる。
ようやく未来が開けたと思った矢先、優はある出来事に遭遇する。
身体中のぜい肉が幾重にもたるみ、もはや一人では
立ち上がることもできず、日がなソファの上に寝そべる
チャーリーの姿はまさに陸に打ち上げられた瀕死の
“クジラ”のようだ。
醜い姿へと変わり果て、血圧は異常なレベルになり、
いつ命を落としてもおかしくない状態にもかかわらず、
チャーリーが過食を続けるのはなぜなのか?
そうせざるを得ないほど、辛く、哀しいチャーリーの
過去が徐々に明らかになる。
ライター:能登春子
4月7日より全国ロードショー
ナイキ最大の問題は、マイケルが「ナイキが嫌い」ということ。
一流企業のアディダスやリーボックとの契約を望むマイケルは「ナイキとは会いたくない」
とまで言う。
それでも掟破りの実力行使が功を奏し、何とかマイケルとの面談をこぎつけたナイキが
打った秘策が、洗練されたデザインや鮮やかなカラーリング、ブランドの価値を高めた
“エア・ジョーダン”というネーミングなど。
“エア・ジョーダン”の姿が徐々に形作られる開発エピソードにワクワクする。
アメリカの人気絵本『ワニのライルのおはなし』
シリーズがとびきり楽しいミュージカル映画になった。
ニューヨークを舞台に、“歌うワニ”、ライルをめぐる、
てんやわんやの大騒動が描かれる。
1970年代に異才を放ったドイツ人映画監督、
ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの
『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』(’72年)を
リメイク。
愛を求める人間の性(さが)に鋭く迫る、濃密な
世界が広がっている。
ライター:能登春子
演技派ケイト・ブランシェットの真骨頂
人間の心の闇を描くスリリングな心理ドラマ
5月12日より全国ロードショー
監督・脚本・製作の3役を務めるのは長編映画初監督作の『イン・ザ・ベッドルーム』
(’01年)で高い評価を受けた俳優のトッド・フィールド。
2作目の監督作『リトル・チルドレン』(’06年)以来、16年ぶりの新作として注目された
本作は、ヴェネツィア国際映画祭の最高賞である金獅子賞を受賞。
米アカデミー賞では作品賞を含む6部門でノミネートされるなど、国内外で高い評価を
受けている。
そんな希望の兆しが芽生えた1980年代のパリを
舞台に、時代の明るいムードとは裏腹に、夫の浮気
による離婚で絶望の淵にいた女性が新しい環境に
戸惑いながらも、自分の人生を歩き出す姿を描く。
ライター:能登春子
4月21日より全国公開
父の自死が原因で村民たちから後ろ指を指されながらも、村に留まるしかない優。
閉鎖的な村で、生き辛そうな優の姿が本当に辛い。
『流狼の月』(’22年)に続く、社会派ドラマで陰湿的な役柄を演じた横浜流星の真に迫った
演技に驚かされる。
舞台は1972年の西ドイツ・ケルン。
瀟洒なアパルトマンに暮らすピーター・フォン・カント(ドゥニ・メノーシュ)は著名な映画監督だ。
ケイト・ブランシェットがベルリン・フィル初の女性
マエストロ(主席指揮者)となったリディア・ターを
演じ、自身2度目のヴェネツィア国際映画祭主演女優賞
に輝いた本作は、虚栄心や猜疑心にとりつかれ、心身の
バランスを失っていくターの姿を描いたサイコスリラー。
役柄に徹底的になり切る演技派ケイト・ブランシェットの
狂気の演技は見応えたっぷりだ。
本作では、年齢や容姿、身分など、さまざまなことが異なる男たちの愛が
どんな結末を迎えるのか。
愛に翻弄される中年男の姿を通して「愛とは何か」という普遍的なテーマを、
オゾン監督流の挑戦的なアプローチで魅せる。
しかし、最近のターは新曲の創作に苦しみ、ベルリン・フィルで唯一録音できていないマーラーの
交響曲第5番の録音にも重圧を感じていた。
そんな中、財団のプログラムでターが指導した若手指揮者のクリスタが自殺する。
ターは巻き込まれるのを恐れて、クリスタとのEメールをすべて削除するのだが…。
人々の人生に寄り添う深夜ラジオが
優しく語りかける希望の物語
1981年5月10日にミッテラン大統領が誕生した
フランスはそれまでの33年にわたる保守政権が
終わり、変革の時を迎えた。
自由で開かれた時代の幕開けに
多くの人々が期待を膨らませたという。
ある朝、不機嫌そうに目覚めたピーターは若い助手カール(ステファン・クルポン)に傲慢な
態度をとるが、カールは淡々と雑務をこなす。
ピーターが不機嫌なのは恋人と別れたからだった。
そんな傷心のピーターのもとへ、元恋人で今は親友の大女優シドニー(イザベル・アジャーニ)が
訪れる。
脚本も手がけるオゾン監督の映画はキャラクターたちの行動がとても
興味深く、人間という生き物の奥深さを考えさせられる。
私生活ではベルリン・フィルのコンサートマスターでヴァイオリン奏者のシャロン(ニーナ・ホス)
と愛し合い、幼い養女のペトラと3人で穏やかに暮らしている。
自らの夢をすべて叶えてきたターは公私ともに充実した人生を送っていた。
ライター:能登春子
シャルロット・ゲンズブールが絶望を希望へと変えたエリザベートの心の成長を
繊細に表現している。
どんなに落ち込んでも、明けない夜はない。
眠れない夜を癒してくれる深夜ラジオのように、ノスタルジックな温かみのある
作品だ。
シドニーはオーストラリアからの船で偶然出会った俳優志望の青年アミール(ハリル・ガルビア)を
連れてくるが、ピーターはまばゆいほどの若さと美しさを放つアミールに瞬く間に魅了されてしまう。
描かれるのは、やがてアミールと恋人同士になるピーターの愛の行方。
アミールとの恋の始まり、甘い生活、アミールの心変わり、そして別れ…。
すべてがピーターの部屋の中だけで展開する密室劇となっている。
ベルリン・フィル初の女性マエストロとなってから7年、
ターは指揮者としてだけではなく、作曲家としても成功を
収め、自伝の出版を控えるなど音楽界の頂点を極めて
いた。
4月21日より
全国順次ロードショー
日本のとある集落、霞門村に暮らす青年・片山優(横浜流星)は、村にある巨大なゴミの
最終処分場でいじめやブラックな仕事に耐えながら働き、夫の自死後、荒んだ生活を送る母
(西田尚美)が作った借金を肩代わりしていた。
『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザーが
体重272kgの中年男性チャーリーに扮し、
本年度米アカデミー賞主演男優賞に輝いた話題作。
他にも、大学生の娘ジュディット(メーガン・ノータム)の自立やマチアスの挑戦、さらに
エリザベートの恋など、新たな経験を通して少しずつ前向きになる一家の日常が淡々と
綴られる。
ターにとっては永遠の名声や、奔放な新人チェロリスト、オルガ(ソフィー・カウアー)への愛
などだが、欲望に対する人間の執着心の怖さをまざまざと見せつける。
80年代のフランスのヒット曲がちりばめられ、1984年に25歳の若さで急逝した
女優パスカル・オジェのオマージュとしてフランス映画『北の橋』(’81年)や
『満月の夜』(’84年)が引用されるなど、'80年代の熱いフランスが感じられる
のも興味深い。
そんな救いのない日々に優はすっかり心を閉ざしていたが、幼なじみの美咲(黒木華)が
優の運命を変える。
東京から戻ってきた美咲はゴミ処分場に広報として勤めることになり、優をゴミ処理場の案内ガイド
に抜擢したのだ。
自らの過ちで愛する人々を失った孤独な主人公が、
自らの命を削って見つけた生きる上で大切なこととは?
壮絶な人間ドラマが幕を開ける。
ケイトを当て書きしたという脚本は、ターの心の闇がじわじわと広がる過程を
丹念に描き、上映時間は約2時間30分に上る長尺となったが、リアリティの
ある心理ドラマとケイトの優れた演技に引き込まれ、それほど長さを感じさせない。
ケイトは実際にドイツ語とピアノを習得し、演奏シーンはすべてケイト自身が
演じているという。
指揮をするシーンもとても魅力的だ。
1981年。
パリ郊外が見渡せる大きな窓のあるアパートの角部屋で、長年、夫と2人の子どもたちとともに
暮らしていたエリザベート(シャルロット・ゲンズブール)は離婚したことで、仕事を始めることに。
ろくに働いたことのないエリザベートは、ラジオ・フランスの深夜番組『夜の乗客』のベテラン
パーソナリティー、ヴァンダ(エマニュエル・ベアール)と面接し、なんとかリスナーからの
電話受付業務の職を得る。
横浜流星が迫真の演技で引き込む
閉鎖的な村で起こる負の連鎖
日本政府の闇を彷彿させた衝撃的な社会派ドラマ
『新聞記者』(’19年)を手がけた映画制作会社
スターサンズの最新作。
閉鎖的な村が象徴するのは、同調圧力がはびこる社会構造。
優の父や美咲、優など、大勢の中で異なる声を上げた人々が辿る末路が
決して幸せではない世の中に恐怖を感じる。
チャーリーを含め、主な登場人物はわずか5人。
チャーリーの身体を心配し、世話をする看護師のリズ(ホン・チャウ)、布教活動のために
チャーリーの家を訪れたニューライフ教会の若い宣教師トーマス(タイ・シンプキンス)、
8年前に離婚したチャーリーの元妻メアリー(サマンサ・モートン)、そして、離婚以来
疎遠になった高校生の娘エリー(セイディー・シンク)。
誰もが愛する人へのわだかまりを心に抱え、苦悩している。
世界的ブランド “エア・ジョーダン”を生み出した
仕事に熱いナイキの社員が起こした痛快逆転劇
共同脚本を務めたヒューマンドラマ『グッド・ウィル・
ハンティング/旅立ち』(‘98年)が高い評価を受けた
マット・デイモンとベン・アフレック。
その後、2人とも主演映画は引きも切らず、とくにマット・
デイモンは演技派俳優として圧倒的な存在感を発揮。
また、ベン・アフレックは監督を手がけた『アルゴ』
(’12年)が米アカデミー賞作品賞に輝くなど、
製作者としても注目される。
そんな才能あふれる2人が再びタッグを組んだ本作は、
期待に違わぬ面白さだ。
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1984年。
ある日、番組のスタジオゲストにタルラ(ノエ・アビタ)という少女がやってくる。
収録を終えたエリザベートが帰ろうとすると行く当てのないタルラに出会う。
エリザベートはタルラを放っておけず、アパートに連れ帰り、上の小部屋に泊まらせる。
孤独なタルラとの出会いが沈みがちなエリザベート一家の生活にちょっとした彩りを加える。
エリザベートはタルラの純粋な夢に心を動かされたり、高校生の息子マチアス(キト・
レイヨン=ㇼシュテル)は奔放なタルラにときめいたり…。
『新聞記者』以降も、『ヤクザと家族 The Family』
(’21年)、『空白』(’21年)など、日本社会の暗部に
迫る作品を次々に手掛けるスターサンズが本作で題材に
したのは、日本の“村社会”。
広大な自然に囲まれ、幼い頃からの顔なじみがたくさん
いる村の生活はある意味、逃げ場のない閉ざされた世界
とも言える。
そんな村社会に生きる若者が自らに課せられた悲惨な
境遇から逃れようとした先に待ち受ける運命とは…。
ライター:能登春子
苦悩を超えて、演技派として復活した
ブレンダン・フレイザーの熱演は必見
4月7日より全国ロードショー
能面のような同じ顔の下に、人々はさまざまな本音を隠して生きている。
集団社会における普遍的な問題を、スターサンズならではの鋭くエグい
切り口で問いかけている。
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チャーリーの悲惨な生活が中心となる展開は、全編暗く、やるせない雰囲気に包まれるが、
描かれるのは崇高な愛と赦しの物語。
人をひたむきに信じ、愛することの難しさと尊さをチャーリーが無様な姿をさらして伝える
クライマックスシーンは圧倒的な迫力を持って胸に迫る。
特殊メイクやファットスーツ、デジタル技術などを駆使して、
驚異の超肥満体となったフレイザーは、自らを罰するかの
ような行為に至るチャーリーの複雑な心情を見事に表現。
物理的に不自由な身体をものともせず、全身全霊を注いだ
かのような渾身の演技は心を揺さぶり、高い評価もうなずける。
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仕事に熱い男たちの舌戦は、もし実際に言われたら凹んでしまいそうなブラックな発言の
オンパレードだが、仕事に妥協せず、とことん本音で言い合っている様子がとても清々しく
小気味よい。
気心知れた盟友マットとベンを中心に、ベテラン俳優たちがテンポのよい掛け合いを見せ、
臨場感あふれる展開にぐいぐい引き込まれる。
ライター:能登春子
ミュージカル映画界の新スター
歌って踊れるワニが大活躍!
ハリウッドでの理不尽な扱いから心身の不調をきたし、
長らく表舞台から遠ざかっていたフレイザーが最高の形で
復帰できたのは本当に喜ばしい。
描かれるのは1984年に発売され世界中で大ブームを
巻き起こしたナイキのバスケットシューズ“エア・
ジョーダン”誕生の舞台裏。
映画作りをこよなく愛する仕事人、マット・デイモンとベン・アフレックからの熱いエールを
ぜひ受け取ってほしい。
やがて月日は流れ、ライルの潜むアパートに少年ジョシュ(ウィンズロー・フェグリー)と家族が
越してくる。
監督は『レスラー』(’08年)でヴェネツィア国際映画祭
金獅子賞を受賞したダーレン・アロノフスキー。
『レスラー』でのミッキー・ローク、『ブラック・スワン』(’10年)
でのナタリー・ポートマンに続き、
主演俳優の力を大いに引き出した演出手腕にうならされる。
ソニーはタフな人物で、ナイキの予算やNBAのルールなどを無視してジョーダン獲得に
まい進する。
その度にナイキのCEOフィル・ナイト(ベン・アフレック)や、スポーツエージェントからの怒声を
浴びるが、ソニーはまったく意に介さないどころか、逆に相手をやり込める。
3月24日より全国ロードショー
全編、明るいナンバーが流れる楽しいミュージカルだが、はちゃめちゃなヘクターに扮した、
いぶし銀の名優ハビエル・バルデムの突き抜けた演技がこの作品をより面白くしている。
人気がなく、業績不振だったナイキのバスケットボール部門を立て直すために雇われた
ソニー・ヴァッカロ(マット・デイモン)が、NBAデビュー前の新人選手マイケル・ジョーダンの
才能を見抜き、スポンサー契約を結ぼうとするが、数々の問題が待ち受ける。
15年ぶりに来日したブレンダン・フレイザー
果たして、マイケルと彼の両親を迎えたナイキでの面談はうまくいくのだろうか。
ナイキのみならず、マイケルやバスケットの未来を見つめてソニーが行った真摯な
プレゼンテーションに胸が熱くなる。
冴えないショーマン、ヘクター(ハビエル・バルデム)が
古びたペットショップの片隅で、小さなオリの中で
楽しそうに歌い踊るワニの子ども、ライルを見つける。
ヘクターはライルをショーの相棒にしようと家へ連れ帰る。
ライルの歌と踊りは見事なもので、ヘクターとの息も
ぴったり。
そうしてヘクターはライルとのショー初日を迎えるが、
ライルは大勢の観客を前にしたとたん、歌えなくなって
しまう。
ライター:能登春子
パトリス・ルコント監督が描くパリの闇
重厚でクラシカルな雰囲気漂うミステリー映画
3月17日より全国ロードショー
ナイキのサクセスストーリーとしてとても楽しめるが、本作を観て感じるのは
仕事を成功させる醍醐味。
成功とリスクは表裏一体だが、リスクを恐れてチャレンジしなければ成功もない。
無難な道を歩くのもいいけれど、険しい道を乗り越えた先も見てみたい。
世界的ブランドは作れなくても、今ある仕事をがんばってみたら新しい何かが
生まれるかもしれない。
そんな仕事への意欲が湧いてくる。
仕事に悩んでいる人なら、まずは本作を観て仕事に対して
ポジティブになることから始めてみるのもいいのでは。
ショーが失敗し、借金を負ったヘクターは自宅のアパートを手放し、1人でショーの旅に出る。
その間、残されたライルはアパートの屋根裏部屋に隠れ住むことに。
『仕立て屋の恋』(’89年)、『髪結いの亭主』(‘90年)
など、官能的な大人の恋愛劇に定評があるフランスの
名匠パトリス・ルコント監督の8年ぶりの最新作。
ライター:能登春子
3月17日より全国ロードショー
『ラ・ラ・ランド』(‘16年)、『グレイテスト・ショーマン』(’17年)を手がけたシングライター・
デュオ『パセックポール』のベンジ・パセック、ジャスティン・ポールが4曲のオリジナル曲を
書き下ろしている。
事件の捜査を依頼されたメグレ警視(ジェラール・ドパルデュー)は若い女性が着るには
不釣り合いなほど高級なドレスを唯一の手掛かりに捜査を開始する。
映画監督への夢を支えた、ほろ苦い経験
スピルバーグの創作の秘密を紐解く自伝的映画
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カッコよかったり、かわいかったり、多彩な面を見せるプスが圧倒的な存在感を見せるが、
実は健気なワンコも人気が出そう。
豊かに特徴づけられたキャラクターたちが実に魅力的だ。
ライター:能登春子
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ステージの失敗と独りぼっちになった寂しさを抱えたライルは孤独なジョシュとの出会いで、
再び歌う楽しさを思い出す。
そして、ライルが自由に歌い踊る様子を見たジョシュや彼の両親にもポジティブな変化が現れる。
『仕立て屋の恋』の原作者でもある作家ジョルジュ・
シムノンの人気ミステリー小説『メグレ警視』シリーズ
の中から名作の呼び声高い作品を映画化した。
モフモフだけどカッコいい、ギャップに萌える
伝説のネコの活躍を描く待望のシリーズ第2弾
CGキャラクターのライルがとっても魅力的。特に小さな頃のライルはたまらなくかわいいい!
ライルは言葉を話さず、音楽だけで自分を表現する。
音を聴けば、たちまち歌い踊り出すライルにつられて、観ている方もワクワクしてしまう。
大人気フルCGアニメーション『シュレック』シリーズ
(‘01~’10年)から生まれた愛すべきキャラクター、
伝説のネコ“プス”の活躍を描く『長ぐつをはいたネコ』
の続編が11年ぶりに登場した。
本作はすべてのシーンがスピルバーグの子ども時代に基づいており、
かなりプライベートな家族の問題までさらけ出している。
スピルバーグは子どもの頃から卓越した映画作りの才能を見せるが、
映画を撮らなければ彼が感じた痛みはもっと少なかったかもしれない
とも思え、天才に与えられた試練の大きさに切なくなる。
そんなアリシアが講演のために訪れたトルコ・イスタン
ブールで不思議な体験をする。
バザールの土産物屋で購入した青と白の螺旋模様の
入った“ナイチンゲールの目”というガラスの小瓶から、
なんと巨大な黒い魔人 (イドリス・エルバ) が現れたのだ。
9.11事件後に起こった命を巡る物語
命の重みを静かに問う社会派ヒューマンドラマ
熱狂的な映画好きとして知られるバラク・オバマ元大統領夫妻が本作にほれ込み、
彼らの創設した製作会社ハイヤー・グラウンド・プロダクションズが配給権を獲得
したことも話題の映画である。
中川が演じるのは〈僕〉の学生時代の友人ユウスケ。
〈僕〉とは対照的に、毎日が楽しければそれでいいと刹那的に生きてきた。
そんな2人が、目立たなかった同級生・森が自殺したという報せをきっかけに自分の人生を
本気で見つめ直していく。
1953年のパリ。
モンマルトルのヴァンティミーユ広場で、シルクの
イブニングドレスが血で真っ赤に染まった若い女性の
刺殺体が発見される。
遺体のそばには身元を示すものはなく、目撃者も
いなかった。
モフモフした愛らしい見た目とは裏腹に心はワイルドで
ダンディなスゴ腕騎士のプスと個性豊かなキャラクター
たちが織り成す冒険は、キレッキレのアクションシーンも
ネコ特有のかわいらしさもグレードアップしている。
ライター:能登春子
3月3日より全国ロードショー
しかし、年齢や家族構成、収入など、物理的な側面のみを鑑みたファインバーグのやり方は、
冷徹に“命の値段”を算出することになり、被害者たちは反発する。
監督は『マッドマックス』シリーズのジョージ・ミラー。
描かれるのは、“命の値段”をめぐり苦悩する遺族と弁護士たちの姿。
さまざまな事情を抱えた遺族たちの話を聞くうち、ケンのチームの弁護士たちもケンの方法に
矛盾を抱くようになる。
2月3日より公開
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それまでの平穏や生活や“最期”の時の光景など、悲しみに暮れる遺族たちの話を
聞くのは辛い。
プログラム反対派の遺族たちは人の命だけではなく、尊厳をも奪う行為に抗う。
そして弁護士たちもそんな遺族たちの気持ちに寄り添うよう心を尽くす。
YOASOBIのヒット曲『ハルジオン』の原作者を手がける
など、若い世代に人気の作家・橋爪駿輝の小説
デビュー作を映画化。
人気と実力を兼ね備えた若手俳優、北村匠海と
中川大志がW主演を務めた注目作である。
ライター:能登春子
人生の“最期”を望む父と娘の葛藤を
涙とユーモアで綴る、異色の人生賛歌
原作は『まぼろし』以来、オゾン監督作品で共同脚本を務めたエマニュエル・ベルンエイムの
自伝的小説。
残念ながらエマニュエルは2017年にがんにより他界されたという。
中井貴一が演じるのは、冴えない目利きの古美術商
店主・小池則夫。
佐々木蔵之介が演じるのは、くすぶったままの腕利き
陶芸家・野田佐輔。
くすぶり続ける《骨董コンビ》のオヤジたちがパワフルな
街・なにわ・大阪を舞台に、起死回生の“嘘八百”を
ぶち上げる!
ライター:木香圭介
48歳という若さでで惜しくもこの世を去った世界の歌姫、
ホイットニー・ヒューストンの人生を数々のヒットソング
とともにドラマティックに描き出す。
没後10年、
伝説の歌姫・ホイットニー・ヒューストンの半生
その後、トイレに入った乗客の男性が数時間後、体中から血を吹き出し死亡してしまう。
その頃、地上では、イノらが死体の死因がウイルス性であることを突き止める。
レイフ・ファインズが狂気のシェフを怪演
前代未聞のフルコース・サスペンススリラー
そして、結婚で空虚な心を満たそうとする菜穂を演じた松岡も存在感たっぷりの
演技を見せる。
また、パワハラ上司を演じた忍成の迫真の演技も光る。
診断の結果は脳卒中で、命に危険はなかったがアンドレの身体には麻痺が残った。
元実業家で自信家のアンドレは、思うように話すこともベッドから起き上がることさえできない
自分の姿を嘆き、医師やエマニュエルに「終わらせてほしい」と懇願する。
ライター:能登春子
2023年1月6日より公開
日本語吹き替え版でライルの声を演じるのは俳優の大泉洋。
心優しいライルにぴったりな繊細な美声を聴かせてくれる。
ヘクターの声にはミュージカル俳優の石丸幹二が扮し、迫力ある
パフォー・マンスを見せる。
映画は、不安げな表情の若い女性がブティックでドレスに着替えるシーンで幕を開ける。
その後、彼女は奇妙な行動を取り、死体となって発見される。
不穏な雰囲気漂う幕開けから、一気に物語の世界へ引き込まれる。
お尋ね者の賞金首プスは自由気ままにスリルと冒険を
楽しんでいたが、巨人との激闘の末、うっかり死んでしまう。
これで9つあったプスの命は8つを使い切り、残り1つに。
そんなプスの前に賞金稼ぎのウルフが現れる。
最後の命を失うことに恐怖を覚えたプスはレジェンドの
看板を下ろし、家ネコとして、おとなしく暮らすことにする。
SFファンタジー『E.T.』、戦争ドラマ『シンドラーのリスト』、
娯楽アクション『ジュラシック・パーク』など、さまざまな
ジャンルで数々の名作を生み出したスティーブン・
スピルバーグ監督は、まさに映画の神の申し子と
いっても過言ではないだろう。
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メグレ警視を演じるのはフランスの名優ジェラール・ドパルデュー。
被害者の女性に寄り添いながら真相に迫るメグレ警視を淡々と演じつつも、
深みのあるキャラクターに仕上げている。
「願い星」を狙うのは、プスのほかに、不良少女ゴルディーと3匹の熊の犯罪ファミリー、魔法で
世界征服を図る極悪なジャック・ホーナー。
さらに、プスの元カノでスリの天才キティ・フワフワコーデや、プスをつけ狙う不気味なウルフなど、
それぞれ事情を抱えたキャラクターたちが絡み合うストーリーは細部まで練り込まれ、思い切り
笑った後にちょっぴりほろっとさせられる。
若い女性の身元を探るうちに見えてくるのは1950年代のパリの闇。
夢と現実の狭間で揺れる若い女性たちが生きるパリとは?
往年のクラシック映画を彷彿させる陰影の濃い映像が美しくも危うい世界を
見事に描き出し、ミステリアスな雰囲気を高めている。
そうして行き着いた保護猫ホームで、プスはどんな願いも叶う「願い星」の噂を聞き、再び9つの
命を手に入れるため、プスを慕う超ポジティブな犬のワンコとともに冒険の旅に出る。
そんなスピルバーグが映画監督の夢を叶えるまでの
成長期の体験を綴った自伝的映画を製作した。
少年時代から8ミリカメラで、家族の記録や友人たちと
映画を撮影していたスピルバーグは、映画を作ることで
楽しさとともに、痛みを味わうことになる。
2月23日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
奇想天外なファンタジー映画だが、“孤独”をテーマにしたことで共感できるストーリーと
なっている。
完全に現実逃避できる、映画ならではの醍醐味を堪能しながらも、生きる上での“気づき”を
与えてくれるはず。
事件調停のプロを自認するケン・ファインバーグ(マイケル・キートン)弁護士は、独自の
計算式に則り合理的に補償金を分配しようと試みる。
鮮やかな色彩の映像も必見の価値あり。
ドリームワークスのクリエイター陣のイマジネーション豊かな世界を素直に楽しみたい。
スピルバーグを投影した主人公のサミー・フェイブルマンは少年時代を3つの土地で過ごし、
彼の人生に大きな影響を与える経験をする。
幼い頃に過ごしたニュージャージーでは、初めて映画館で観た『地上最大のショウ』をきっかけに、
自分でも映像を撮ることに夢中になる。
孤独な女性と魔人とのファンタジックな愛の物語
エキゾチックで幻想的なアラビアの世界は必見の
価値あり
オフィシャルサイト
そして、コンピューター開発の成果により父がIBMに転職したことから一家はカリフォルニアに
引っ越すが、アリゾナでの生活を恋しがるミッツィは精神を病んでしまう。
また、高校生となったサミーはユダヤ系であるためにイジメられたり、初恋をしたり、ありのままを
映し出す映画の怖さを知ったりと、ほろ苦い経験を重ねていく。
主人公は孤独な中年女性、アリシア。
物語論(ナラトロジー) の専門家として世界をまたにかけて
活躍しているが、想像力が豊か過ぎるあまりに、少女時代
から物語の世界に耽り孤独を深めていた。
ライター:能登春子
2月23日より公開
これまで9.11事件をテーマにした作品は、事件当日やテロ組織への報復の顛末など
アクション映画が主だったが、本作は事件後を生きる人々の姿を静かに追った
社会派ヒューマンドラマである。
やや地味な展開にも映るが、遺族の愛する人たちへの思いは胸に迫るものがある。
北村が演じるのは〈僕〉と呼ばれる若者。
就職はしたものの、パワハラ上司(忍成修吾)にすべてを否定される日々に「社会に夢を見ては
いけない」という想いをSNSに上げて心の平静を保っているが、実は自殺願望を抱えている。
この映画の内容を知ると、映画のタイトルが本当に
切なくて悲しくなる。
なぜなら、『すべてうまくいきますように』と願って
いるのは最愛の父の安楽死なのだから。
監督は『嘘八百』シリーズ前2作も手がけた武正晴。
近年ではNetflixで配信中の話題作『全裸監督』(’19年)の総監督・監督を務めたことでも
注目される。
敏腕の音楽プロデューサーのクライヴ・デイヴィスと出会ったことで、ホイットニーは
数々のヒットソングを生みだす歌姫へと姿を変えていく―。
バイオテロリストにハイジャックされた飛行機の乗員
乗客たちを救うため、空と地上とで繰り広げられる死闘
が壮大なスケールで描かれる。
安楽死の知られざる実情や、姉妹が憎みアンドレが怖がる男性ジェラールの正体、そして、
本当にアンドレは死んでしまうのか。
さまざまな謎をはらんだストーリーは、ラストシーンまで見応えがある。
エマニュエルを演じるのは、今やフランスの国民的俳優として愛されるソフィー・マルソー。
複雑な感情を抱えながらも、確固たる意志で大好きな父の最期に向き合うエマニュエルを
情感豊かに演じている。
小池則夫はYouTubeで古美術を紹介するチャンネルを運営しているが視聴者数は伸び悩んでいる。
相変わらず冴えない則夫だったが、太閤秀吉の縁起モノと呼ばれ「秀吉七品」の中で唯一所在不明
だった「光り輝くウツワ(鳳凰)」発見か?!というニュースが入り、色めき立つ。
なんと則夫に「大阪秀吉万博」の仕事が舞い込んだのだ。
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の
ナオミ・アッキーがホイットニー、
『プラダを着た悪魔』のスタンリー・トゥッチが彼女を
支えた音楽プロデューサーのクライヴ・デイヴィスを
演じる。
飛行機内で奮闘するのはイ・ビョンホン。
飛行機恐怖症に秘められた悲しい過去を乗り越えて、乗客の命を守るヒーローをアグレッシブに
演じている。野性味あふれるイ・ビョンホンはやはりカッコいい!
11月18日より
ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
アメリカ北西部・太平洋沖の小島に佇む高級レストラン
に11人の招待客が向かう。
連れがいないと入れないのがホーソンの決まり。
この日を待ち望んでいたグルメマニアのライター
(ニコラス・ホルト)は恋人にドタキャンされたことから、
マーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)を誘う。
ライター:能登春子
ブラジルに実在した心霊手術師ホセ・アリゴーの
ミステリアスな半生を驚異の映像で映画化
それでもジャニスは真実を誰にも告げないことに決め、セシリアを大切に育て続ける。
2作目は『女人、四十。』のアン・ホイ監督が
1960年代の学校を舞台に、教師と生徒たちとの絆を
描いた『校長先生』。
人情味あふれる香港の人々の暮らしを捉えたノスタル
ジックな物語だ。
ライター:能登春子
深く美しい森の中で描かれる
母と娘との優しい絆
真田広之が演じるエルダーは実年齢よりもかなり上の初老役。
ホワイト・デスと対決する為に途中からゆかりに乗って来るのだが、杖を付いている。
この杖が仕込み杖で、斬鉄剣のように良く斬れる。
車内での立ち回りでは、座っていた敵を座席ごと斬っていた。
ある日、古びた心理療法室を訪れた純は、2階の窓に
白いマスクをかぶった少女を見つける。
そこには心理療法室を営む父・司朗(玉木宏)、心に
傷を抱え引きこもる姉・花(南沙良)、そして、
白いマスクをかぶる妹・月(渡辺さくら)が暮らしていた。
ライター:木香圭介
8月19日より全国ロードショー
駅までは行けるのだが、そこから学校へと向かう事が出来なくて
登校拒否になった中学生、シャッター通りの中で唯一店を開けている
主人、そして修道院ではハウを飼っていた元飼い主に会ってしまう。
ブラジルで雑貨店を営んでいたホセ・アリゴーは
1955~71年にかけて、驚異的な施術で病人を
治癒させたという。
ライター:能登春子
11月3日よりロードショー
アンドレにはセザール賞に3度輝いたフランスの重鎮、アンドレ・デュソリエ。
オゾン作品に欠かせないシャーロット・ランブリングもアンドレの妻クロード役で出演。
短い登場シーンながら、深みのある演技でさすがの存在感を見せる。
幻のお宝、鳳凰をめぐり、“TAIKOH”と名乗るカリスマ波動アーティスト(安田章大)を抱える
謎の財団が怪しい動きを見せる。
そして、則夫と佐輔の《骨董コンビ》も、とんでもないことを企てる。
ケヴィン・コスナーと共演して大ヒットした映画『ボディガード』への出演エピソードも描かれている。
ジェヒョク父娘や若い男、イノの妻が乗り合わせたハワイ行きKI501便が離陸すると、若い男が
行動を起こす。
体内に隠した粉末を飛行機のトイレにまき散らしたのだ。
ライター:能登春子
11月18日より全国ロードショー
しかし、多くの時間を費やして描いているのは、ホイットニーの圧倒的な歌唱シーン。
全米でシングル・チャート1位を獲得した楽曲は殆ど登場している。
特に【I Have Nothing】の歌唱シーンは感動ものだ。
その圧倒的な歌声は"THEVOICE"と称され、「歌いたい曲を、自分らしく歌う」ことに
命を燃やしたホイットニーの臨場感たっぷり歌われる数々の名曲に酔いしれて欲しい。
コロナ禍を経験したことから、ウイルス感染の恐怖はより一層生々しく感じられる。
まさにタイムリーな題材の効果をさらに高めるために、密室の飛行機が舞台に
選ばれている。
そして、ウイルス感染だけではない、空上の密室を生かしたさまざまな恐怖が
描かれる。
その中にはご都合主義な展開もあるのだが、二転三転するジェットコースターのような
展開は韓流ドラマの真骨頂である。
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絶海に浮かぶ孤島に建てられた、世界で最も予約の
取れない高級レストラン「ホーソン」でふるまわれる
“究極”のフルコースとは?
美味しく調理されるのは人間たち。
そんな恐怖のディナータイムが幕を開ける。
ホセの施術は衝撃的でオカルト的にも見えるが、それは嘘ではなかったことが
証明される。
エンドロールでは実際にホセが施術した写真が公開されているのでお見逃しなく。
数ヵ月後、ジャニスは娘セシリアを育てることが生きがいになっていた。
出産に戸惑っていたアナも娘のアニータがかわいくてたまらない様子だ。
さまざまな恐怖に見舞われた乗員乗客たちは果たして無事に生き残れるのか。
ウイルス感染の恐怖が引き起こすクライマックスシーンは今の時代だからこそ、
考えさせられるものがある。
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ところが、別れたアルトゥロがセシリアに会いに来たことから、意外な事実が発覚する。
セシリアのことを「自分の子どもとは思えない」と話したアルトゥロにDNA鑑定を勧められた
ジャニスは最初憤るものの、疑惑を晴らすためにDNA鑑定を行う。
すると鑑定結果は「セシリアは99.999…%、生物学的にジャニスの子どもではない」と出てしまう。
最初に登場するのは1950年代を舞台にした『稽古』。
“カンフー映画のキング”と呼ばれるサモ ・ハン監督が
自身の修業時代のエピソードを基に、厳しいカンフーの
修業に耐える子どもたちの姿をユーモアを交えて
描いている。
9月23日より有楽町ヒューマントラスト
シネマほか全国順次ロードショー
香港自体や香港映画など、香港への造詣が深くないと正直言って意味が伝わらない作品も
あると思うが、時代や地域を超えたさまざまな香港の姿を純粋に楽しんでみたい。
2020年、第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品。
日本では同年の第21回東京フィルメックスの特別招待作品として上映され、
観客賞を受賞した。
不思議な展開は心温まるラストへ。
母親を失った哀しさと寂しさを味わったネリーとマリオンは母と娘とのかけがえのない絆に気づく。
心理療法室で何が起こっているのか!?
不穏な雰囲気に包まれた世界観にゾクゾクする
ライター:能登春子
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おとぎの国のようなフランスの森が放つ癒しの映像も魅力的。
殺伐とした現実世界から抜け出して、無垢な子ども時代へと
しばし戻ってみるのもいいだろう。
ウェービーヘアーが大人っぽくて、かわいい子役のネリーと
マリオンを演じているのは本当の双子の姉妹。
本作で映画デビューを果たした。
いつも事件に巻き込まれてしまう世界一運の悪い殺し屋レディバグ。
そんな彼が請けた新たなミッションは、東京発の[超高速列車ゆかり]内でブリーフケースを
盗んで次の品川駅で降りるという簡単な仕事のはずだった。
盗みは簡単に成功したものの、身に覚えのない9人の殺し屋たちに列車内で次々と命を狙われ、
降りるタイミングを完全に見失ってしまう。
列車はレディバグを乗せたまま、世界最大の犯罪組織のボス、ホワイト・デスが待ち受ける
終着駅の京都へ向かって加速していく。
白いマスクをかぶった少女が映る、この映画のポスター
に興味を引かれる人は多いだろう。
秘密を抱えた人々が織りなすダークなミステリー・
スリラーだ。
主人公は心神喪失の母を抱えた少年・四井純
(大西流星)。
彼は母の病の原因を探るために、母と同じような症状の
人々を見つけて写真に撮っていた。
家族や自己のアイデンティティに悩み、どこか物憂げなサミーを演じた
ガブリエル・ラベルは繊細で思慮深いスピルバーグを彷彿させる。
ジンと名乗る魔人は「解放してくれたお礼に3つの願いを叶えてあげよう」と申し出る。
そして、人間サイズになり、なぜかバスローブを羽織ったジンは自分の欲望が原因で3度も
瓶の中に閉じ込められたという身の上話を語りはじめる。
当国アメリカのみならず、世界中の人々に衝撃を与えた
9.11事件。
あの朝、普通に家を出た人々を突如失った家族や
恋人たちにはその哀しみや苦しみを癒す間もなく、
さらに惨い現実が突きつけられた。
誰もが人生の中で、ままならない出来事に遭遇することがある。それでも、すべての出来事には
意味がある。
だから、“乗り越えて”夢を抱く人々に向けたスピルバーグの力強いメッセージが心に沁みる―。
人を愛したために瓶へ閉じ込められ、深い孤独を味わってきたジンに対し、アリシアは愛情を
抱くようになる。
やがて心を通わせた2人はともに生きる道を選び、孤独ではなくなるのだが、新たな問題に
直面する。
アメリカ政府は被害者家族を救済するために、事件から
わずか11日後の9月22日に〈9.11被害者補償プログラム〉
を立ち上げたが、それはテロ被害者たちの命の価値を
測ることになった。
ライター:能登春子
2月3日より公開
オフィシャルサイト
旧約聖書にあるソロモン王とシバの女王の物語を皮切りに、愛欲や支配欲にまみえる
アラビアの“闇”の世界がイマジネーション溢れる映像で描かれる。
煙のように変幻自在に姿を変える魔人や、猥雑でエキゾチックなアラビアの光景など、
CGを駆使したマジカルな映像は素直に楽しめる。
本作は、プログラムを束ねる特別管理人に任命された
ワシントンD.C.の弁護士ケン・ファインバーグの回想録
『What is life worth?』を基に、人の〈命の重さ〉について
静かに問いかける。
未来に夢を持てない現代に生きる
若者たちの心の痛みに共感
現代社会で、自分の思うように生きられている人は
一体どれくらいいるのだろう。
不景気にパワハラ……、頑張って働きたくても、
働く意欲を失わせる社会に心を疲弊していく若者たち。
本作には、そんな未来に夢や希望を持てない
若者たちの絶望感や焦燥感が充満している。
監督・脚本・編集を務めたのは、『CUBE 一度入ったら、最後』('21年)の清水康彦。
世の中の不条理を表現したような前衛的な映像が若者たちの心の痛みを際立たせる。
エマニュエルの子ども時代の光景や、アンドレの妻クロード(シャーロット・ランプリング)の冷たい
態度、父が姉を頼りにしたことに嫉妬するパスカルの姿など、ずっと昔から家族たちが自分本位の
アンドレに振り回され傷つけられてきただろうことが伺える。
そんな愛憎渦まく家族関係だが、やっぱり父や夫のアンドレには生きていて欲しい、と願っている。
実力派俳優たちの丁々発止の掛け合いが楽しい
お宝をめぐる大騒動を描く人気コメディシリーズ
第3弾
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それでもエマニュエルは、父の気が変わることを望みながらも安楽死を支援するスイスの協会に
コンタクトをとり、“最期の日”の準備を進めていく。
『嘘八百』(’18年)、『嘘八百 京町ロワイヤル』
(’20年)に続き、中井貴一と佐々木蔵之介の贅沢な
タッグが実現した、痛快コメディエンターテイメント
映画シリーズの第3弾が登場する。
深刻なテーマだが、ユーモアを交えて描かれる。
駄々っ子のように安楽死を願うアンドレが実にチャーミングで、思わず笑ってしまう。
人生を心から楽しみ、愛しているからこそのアンドレの決断は正直言って、分からなくもない。
やがて訪れる自分自身の“最期”についても深く考えさせられる。
12月23日よりロードショー
鑑賞後は映画の魔法にかけられたような気分になるだろう。
“映画って、やっぱりいいな”と思わせてくれる逸品だ。
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人が人を傷つける、救いのない現実で生きる若者たちの物語は、自殺のワードが飛び交う
シビアな雰囲気で胸が苦しくなってくる。
生気の無い〈僕〉や、森の死に自分を見失うユウスケなど、絶望の淵をさ迷う若者たちの姿が
リアル過ぎて怖いくらい。北村、中川の静かな熱演は見応えがある。
小説家のエマニュエル(ソフィー・マルソー)は84歳の父
アンドレ(アンドレ・デュソリエ)が倒れたという知らせを
受け、妹のパスカル(ジェラルディール・ペラス)とともに
病院へ向かう。
世の中に絶望していた〈僕〉はパワハラ上司に立ち向かった元同僚の〈私〉(古川琴音)に出会い、
自分の心を解き放とうとする。
そして、ユウスケは“愛すること”に本気で向き合い、菜穂(松岡茉優)に結婚を申し込むが…。
『まぼろし』(‘01)、『8人の女たち』(‘02)などで
知られるフランスの名匠フランソワ・オゾン監督が、
父親の死を“準備”する姉妹の葛藤を軸に、誰にでも
訪れる家族との別れを前にした人々の思いをリアルに
描き出した。
数々の大ヒット曲を残し、世界を魅了した歌姫として知られるホイットニー・エリザベス・
ヒューストンはかつてニュージャージーの教会で歌を歌う少女だった。
脚本は、シリーズ2作を手がけた今井雅子に加え、『百円の恋』(‘14年)の脚本で一躍
脚光を浴びた足立紳が担当。
足立は2023年度後期のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本を手がけることが
発表されるなど、今、乗りに乗っている人気脚本家だ。
密室の飛行機で決行されたバイオテロの恐怖を描く
韓流らしいドラマチックなエンターテイメント巨編
韓国映画界のトップスター、ソン・ガンホとイ・ビョンホン
が豪華共演を果たした密室パニックアクションエンター
テイメント映画。
日本語版でプスの声を演じるのは山本耕史、キティには土屋アンナ。
オリジナル版でプスの声を演じるのはアントニオ・バンデラス、キティにはサルマ・ハエックと
イメージぴったりの俳優たちがキャスティングされている。
優秀な科学者の父バート(ポール・ダノ)の転職で移り住んだアリゾナでは、友人たちと本格的な
映画作りを楽しむ一方で、快活で感性豊かなピアニストの母ミッツィ(ミッシェル・ウィリアムズ)の
秘密を知り、心を痛めることに。
イスラムの説話集『アラビアンナイト』で語られる物語の
一つ、『アラジンと魔法のランプ』をモチーフにした
摩訶不思議な〈おとぎ話〉が繰り広げられる。
脚本も手がけたアルモドバル監督は自身のライフワークでもあるスペイン内戦の
悲劇を盛り込み、突然愛する人を失う哀しみを浮かび上がらせる。
本作では悲惨な現実だけではない希望も描かれる。
アルモドバル監督がジョニスとアナの物語と遺骨発掘のエピソードに込めた意味を
じっくり考えながら、映画を鑑賞してほしい。
5作目はアクション・ノワールの巨匠ジョニー・トー監督による1990年代~2000年の物語で、
投資の相談をする若い男女の姿をコミカルに描いた『ぼろ儲け』。
6作目はハリウッド進出を果たしたリンゴ・ラム監督の『道に迷う』。
タイトル通り、ロンドンから帰ってきた男性が香港の中心部で道に迷う姿を通し、変わりゆく
香港への想いを込めた感動的な物語。
本作はラム監督の遺作となった。
ブラッド・ピット主演の
何でもありのハチャメチャアクション。
ネリー(ジョセフィーヌ・サンス)は両親とともに、
亡くなった祖母が暮らしていた森の中の家を訪れる。
しかし、ネリーの母マリオン(ニナ・ミュリス)は
自分の母との思い出が残る家にいるのが辛くて、
ネリーに告げずに家を出てしまう。
伊坂幸太郎の原作による殺し屋シリーズの
第2作目となる(1作目は『グラスホッパー』)
『マリアビートル』」を、『デッドプール2』の
デビッド・リーチ監督がブラッド・ピット主演で
映画化したクライムアクション。
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そして、最後は“香港のスピルバーグ”とも呼ばれるツイ・ハーク監督の『深い会話』。
近未来に生きる精神科医と患者との会話が複雑にねじれていく不条理コメディである。
母のいない寂しい日常の中、ネリーは森の中で
木の家を作る少女(ガブリエル・サンス)に出会う。
「マリオン」と名乗る少女もまた、森の中の家で母親と
2人で暮らしていた。
共演に『オーシャンズ8』のサンドラ・ブロック、
『キック・アス』シリーズのアーロン・テイラー=
ジョンソン、『ラスト サムライ』の真田広之ら
豪華キャストが集結。
ミステリアスな女性を演じることの多い桜井ユキに加え、玉木宏も怪しげな心理療法士を
怪演。
これまでの爽やかなイメージを覆す役柄は必見だ。
上演時間2時間20分の長尺だが、ドラマチックな韓流パニックアクションの
醍醐味に思う存分酔いしれてほしい。
島に到着するやいなや、怪しい雰囲気がプンプン漂う。
まずはレストランの女性給仕長エルサ(ホン・チャウ)が何とも不気味。
レストランへ向かう前の島ツアーで人から聞こえてきたのは、「スローヴィクの家にはスタッフの
誰も入ったことが無い」とのことだった。
そんな謎めいたカリスマシェフ、スローヴィクを演じるレイフ・ファインズの怪演が最高だ!
底知れぬ狂気を秘めたスローヴィクは身震いしてしまうほど怖い。
登場する料理はサンフランシスコの三つ星レストランの有名シェフが
監修した本格派だが、食べるのは難しいものばかり。
“グルメ”な人々への辛めな皮肉をまぶした風刺スリラーとして、
奇想天外なメニューの数々をじっくり堪能してほしい。
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家族の病気や危険人物とみなされたホセの逮捕など度重なる困難に立ち向かいながら、
ホセは自らの力を与えられた使命と捉え、ただひたすらに治療にあたる。
治療費を一切もらわなかったというホセの真摯な思いが結実するクライマックスシーンは圧巻。
ハリウッドメジャーのパラマウント・ピクチャーズが製作に出資。
大掛かりな群衆シーンなど、見ごたえある映像が実現した。
ブラジルのヒーローを世界に広めたいという気迫に満ちた映画である。
時は経ち、出産を控えて入院中のジャニスは17歳のアナ(ミレナ・スミット)と同室になる。
ともに想定外の妊娠でシングルマザーになる2人は絆を深め、偶然にも同日に女の子を
出産する。
ジャニスの娘は呼吸障害、アナの娘は低血糖の問題でしばらく観察室に入っていたが
無事に回復。
2人は連絡を取り合うことを約束して、娘たちとともに退院する。
7人の名手たちの香港への思いが溢れる
ディープで味わい深い香港映画
香港映画界を代表する7人の監督が手掛けた
7編の短編からなるオムニバス映画。
1950年代~近未来まで、さまざまな時代の
香港を舞台にした個性豊かな作品が揃った。
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歴史的発見は一獲千金だけではなく、世知辛い現代に生きる人々の沈んだ心に夢やロマンを
与えてくれる。
本当の宝とは何なのか? 芸達者たちが揃ったドタバタコメディはクライマックスにジンと来る
メッセージがある。
『ボヘミアン・ラプソディ』のアンソニー・マクカーテンが
脚本を手掛け、『ハリエット』のケイシー・レモンズが
監督を務め、クライヴ・デイヴィスが、プロデューサーを
している。
ライター:能登春子
2023年1月6日より公開
地上で活躍するのはソン・ガンホ。
妻との海外旅行をドタキャンしてしまうような飄々としたオヤジが一転、妻の命を救うために
命がけで闘う姿はまるで『ダイ・ハード』のジョン・マクレーン刑事のよう。
2人の名優たちの熱い演技は見応えたっぷりだ。
そして、バイオテロリスト役のイム・シワンも何を考えているか分からない不気味さ満点で、
スリルを高めている。
ほかにも、著名な料理評論家のリリアン(ジャネット・マクティア)と雑誌編集者のテッド
(ボール・アデルスタイン)、グルメ番組の司会者を狙う落ち目の映画スター(ジョン・レグイザモ)と
アシスタントのフェシリティ(エイミー・カレロ)など、裕福な常連客たちが世界的カリスマシェフ、
スローヴィク(レイフ・ファインズ)の豪華ディナーを楽しみにやってくるが…。
医療の知識も技術もない彼の施術は、病人を見たり、
触ったりしただけで腫瘍など病気の原因を見つけ、
さらにはホセ自らが素手やハサミなどで患者の身体を
麻酔なしで切り、患部を手づかみで取り出すという、
正直言って猟奇的ともいえるものだった。
それでもガンさえも完治させる彼の治療は奇跡の
治療として大きな評判を呼んだ。
スペインの悲劇を絡めて描く
「我が子」をめぐる母親の複雑な愛情
スペインの鬼才ペドロ・アルモドバル監督の最新作は、
自身の出世作『オール・アバウト・マイ・マザー』
(’98年)以来、幾度もテーマにしてきた母と娘との物語。
母と娘であると同時に、1人の人間や女性でもある
彼女たちの関係は複雑で見応えあるドラマが描かれて
きた。
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史上最高の国歌斉唱と語り継がれる第15回スーパーボウルでのアメリカ国家斉唱
シーンや、グラミー賞やアカデミー賞を受賞したパフォーマンスなどを通して、
彼女の人生を映しだす。
飛行恐怖症のジェヒョク(イ・ビョンホン)が娘とともに
ハワイへ向かうため、空港にやってくる。
空港で、ジェヒョクは怪しげな若い男(シム・イワン)と
遭遇する。
他の主な登場人物は、ホイットニーの両親として、母親はシンガー(シシー・ヒューストン役
タマラ・チュニー)で、父親はプロダクションの社長(クラーク・ピータース)、
夫となるボビー・ブラウン(アシュトン・サンダース)、マネージャーのロビン・クロフォード
(ナフェッサ・ウィリアムス)に、音楽プロデューサー・クライヴ・デイヴィス
(スタンリー・トウッチ)。
一方、妻とのハワイ行きをキャンセルしたベテラン刑事
のク・イノ(ソン・ガンホ)は、不気味な死体を発見し
捜査にあたる。
図らずも心霊手術師になってしまったホセの苦悩の深さを表わすように、映画は終始、重苦しい
雰囲気に包まれる。
ホセの力は“神”に与えられたものなのか?
キリスト教への信仰心の篤いブラジルらしい宗教を絡めた展開も不穏な雰囲気を高める。
2016年、スペイン・マドリード。
カメラマンのジャニス(ペネロペ・クルス)は別れた元夫の
法人類学者アルトゥロ(イスラエル・エレハルデ)に、
スペイン内戦時にフランコ政権に殺されたジャニスの
曽祖父を含む数十人の人々の遺骨の発掘を依頼する。
ライター:能登春子
10月7日より新宿武蔵野館ほか
全国順次ロードショー
デジタル時代に抗うかのように、全作35mmフィルムで撮影された映像は
レトロな質感で、古き良き時代の映画の味わいを堪能できる。
ネリーの祖母の家とマリオンの家がそっくりなこと、マリオンと彼女の母親も病気がちなこと、
そしてネリーとマリオンが物憂げなところなど不穏な雰囲気が漂い、ホラーな展開が
起こりそうにも思えるが、本作はれっきとしたファンタジー映画である。
9月1日より全国ロードショー
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前菜、パン、スープ、メイン…、料理をこよなく愛するスローヴィグがその思いをたっぷり込めた
料理は次第に常軌を逸していく。
恐怖の料理って、どんなものなのか? よほど驚くべきものでないと観客は納得しないと思うが、
怖がらせようとする仕掛けは十分に仕込まれている。
そんな超人的な力を宿したホセ・アリゴーとは一体
何者なのか?
“神”に選ばれた男の過酷な半生がミステリータッチで
描かれる。
本作では、産まれた子どもの取り違えに直面した母親が
苦悩し、葛藤する姿を通し、「母として生きる」ことについて
問いかける。
この判断は理解しがたいのが、「最愛の我が子」という思いを胸に刻んでしまった母心のなせる
業なのだろうか?
この後、ジャニスが真実を知らないアナと不思議な関係を築いていく過程が不穏な気配を
まといながら描かれる。
3作目は1980年代を舞台にした、ちょっぴりシュールなラブストーリー『別れの夜』
(パトリック・タム監督)、
4作目『回帰』は1990年代、香港で一人暮らす祖父とカナダ育ちの孫娘との交流を温か
く見つめている。監督のユエン・ウーピンは『マトリックス』のアクション監督を務めていた。
フランス映画『燃ゆる女の肖像』(‘19年)の
セリーヌ・シアマ監督が脚本も手がけた
ファンタジー映画。
8歳の少女ネリーが森の中で出会ったのは…?
ライター:木香圭介
9月1日より全国ロードショー
ブラッド・ピットが『テルマエ・ロマエ』の如く日本のすぐれたトイレに驚くシーンがあったけど、
キャンペーンで来日したスターが日本のトイレを気に入り設備を購入して帰る人が多いそう。
多分、ブラピの自宅にも付いているんだろうね。
© 2002 「この子は邪悪」製作委員会
司朗ら家族は5年前、一家で遊園地に行った帰りに交通事故に遭い、月は顔に大やけどを
負ったためにマスクをかぶっていたのだ。
そして、母の繭子(桜井ユキ)は植物状態で入院中だったが、ある日突然、目を覚まして
家に帰ってくる。
犬童一心監督がメガホンを取った
人と保護犬の絆を描いた感動ドラマ
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『余命1ヶ月の花嫁』
などで知られる脚本家の斉藤ひろしによる原作を
『ジョゼと虎と魚たち』『のぼうの城』などの
犬童一心監督がメガホンをとった、人と保護犬の
絆を描いたドラマ。
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『ザ・ロストシティ』を紹介した際にサンドラ・ブロックが出演しているのを伝えたが、もう1人の
共演者チャニング・テイタムもなんとカメオ出演していて、ゆかりに乗っていた。
今回、ブラッド・ピットが演じるレディバグはピンチヒッターで先に依頼されていた殺し屋が
いるのだが、 こちらも有名な人物が演じるカメオ出演となっている。
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本作のキャンペーンで来日も果たしたブラッド・ピットのキュートな魅力満載の一作となっている。
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ワンと鳴けない優しい犬のゴールデンドゥードル(ラブラドールレトリーバーとプードルの
掛け合わせ)が主役のロードムービー。
青森から主人公の住む横浜を目指して移動するハウ(吠えないように声帯除去手術を
されて、ハウとしか聞こえない)が道中で様々な人と出会う。
2022年製作/126分/R15+/日本 原題:Bullet Train
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
オープニングから登場人物すべてにどことなく暗い影が漂うのは、みんなが秘密を抱えて
いるから。
やがて花と親しくなった純が一家の秘密に気づくが、司朗の催眠療法により、ある変化が起こる。
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不思議な状況の数々が徐々に結びついていくストーリーはうまくできている。
すべての秘密が明らかになるクライマックスは、奇をてらい過ぎた演出も否めないが、
二転三転する怒涛の展開にただただ驚かされる。
そして、ゾクリとするようなラストシーンもお見逃しなく!
犬との絆を育む主人公を田中圭が演じるほか、
池田エライザ、野間口徹、渡辺真起子、市川実日子、
石橋蓮司、宮本信子らが脇を固め、石田ゆり子が
ナレーションを担当する。
ハウの優しさが生きる希望を与えてくれる。
ハウの優しい行動や表情に、何度も何度も心が温かくなるでしょう。
ジャニーズのアイドルグループ、なにわ男子の大西流星も、おどろおどろしいドラマの
雰囲気にぴたりとはまり熱演している。
オリジナル作品による企画コンテスト、 PROGRAM FILM 2017」で準グランプリを
受賞した作品の映画化。
監督・脚本は『さよなら、ムッシュ』(‘17年)の小説家としても知られる片岡祥。
市役所職員の赤西民夫(田中)は上司からの勧めにより飼い主に捨てられて保護犬に
なってしまった真っ白な大型犬を飼うことになる。
民夫は人懐っこいこの犬をハウと名付け、民夫とハウは次第に絆を深めていく。
そんなある日、突然ハウが姿を消してしまう。
必死にハウを捜す民夫だったが、ハウは遠く離れた青森の地にいた。
偶然のアクシデントが重なり、青森まで運ばれてしまったハウは、大好きな民夫の声を
追い求め、青森から民夫の待つ横浜まで798キロの道のりを目指す。
ポルトガルで開催されたボルト国際映画祭で審査員スペシャル・メンションを授与された。